日本人に劣らない資産をもった中国人が1億人以上いる
続いては中国の内陸の方、四川省を訪れた。場所は成都。東大時代の恩師である元教授・船曳建夫先生と、当時のゼミの仲間たちと、詩人・杜甫(とほ)のゆかりの地を巡る旅行だった。
船曳先生はパプアニューギニアなど、世界でフィールドワークを行ってきた文化人類学者で、『知の技法』シリーズの編者としても知られる。日本を代表する教養人のアテンドで、中国詩人の史跡を回れるのは、教え子ならではのぜいたくな体験だろう。
中国は成都みたいな内陸部でも、大変な勢いで発展している。地下鉄もきちんと整備されていた。成都でおもしろかったのは、寛窄巷子(かんさくこうし)というお洒落なストリート。
成都は清の時代にチベット遠征の拠点となっていて、北部様式の建物が中心となっている。その古い景観を活かし、リノベーションして観光地化したのが、このストリートだ。雰囲気的には上海の新天地に似ている。建てるのは新しい高層ビルばかりではない。昔のものを利用しようという、中国の都市計画の成熟も垣間見えた。
寛窄巷子のレストラン『子非』で食事した。この店はプレゼンテーションが凝っていた。青磁製の人物像が皿を持っていたり、成都名物〝変面〞が披露されたり、中国琴の演奏もあった。観光客をもてなすサービスのクオリティは、かなり日本に迫っている。資本がさらに入っていくので、今後は富裕層向けのサービスが盛んになっていくだろう。
人口:13 億6782 万人(世界1 位)、GDP:10兆3565億ドル(世界2位)、一人当たりGDP:7572ドル(世界80 位)
中国がどれだけ経済成長しているか、実際のところ、海外旅行していない日本人にはピンと来ていないだろう。
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