シンガポールはグローバル時代の都市国家の最新モデル

小さな経済大国・シンガポールでビジネスの活性化が止まらない理由はどこにあるのでしょうか。そして、堀江貴文さんが都市の経済成熟をはかるときに使う意外なバロメーターとは?
出所から2年半の間に、28カ国58都市を訪れた堀江貴文さんが、世界を巡り考えました。
発売前 重版決定!大反響の書籍『君はどこにでも行ける』を、特別先行掲載いたします。

富裕層の移住が加速する小さな大国 

 シンガポールはマレー半島南端に位置する、共和国制の島国だ。ASEAN(東南アジア諸国連合)をリードする先進国。世界レベルで見ても、この20年ほどで最も発展を遂げた国のひとつと言えるだろう。

 2014年のシンガポールの一人当たりGDPは世界で9位(日本は27位)に位置する。
 富裕世帯の割合が世界で最も高く、6世帯に1世帯が金融資産100万ドル以上を保有しているとされる。

シンガポール:人口:547 万人(世界111 位)、GDP:3078億ドル( 世界36位)、 一人当たりGDP:5 万6286ドル(世界9 位)

 国外からの投資は相次ぎ、都市部は現在も建設ラッシュに沸いている。風景の変化のスピードはすさまじい。

 数年前、3年のブランクを空けて訪れた。わずか3年でこれだけ変わるの⁉と驚くほど再開発が進んでいた。特にリゾート海岸地帯、マリーナベイの周辺がすごかった。客船を模した屋上プールで世界的に知られるマリーナベイサンズホテルをはじめ、街全体が富裕層のために整備されている印象だ。

 いちばん目に見えて変わったのは女の子のルックス。3年前より格段に、かわいい子が増えた。ファッションもメイクも洗練されている。若い人の間で可処分所得が増えて、美容にお金をかけられる余裕が生まれたのだろう。
 女の子の外見は、都市の経済の成熟ぶりをはかる絶好のバロメーターだ。豊かさに比例して女の子はかわいくなる、これは間違いない。

 ちなみに現地のキャバクラでは、意外な再会をした。10 年ほど前に遊んでいた東京の女の子が、働いていたのだ。予想もしない遭遇に、お互いビックリした。10 年でいろいろあったらしいが、それもまあお互い様だ。
 10 代だった女子大生が大人になって、移住して働こうという場所に、シンガポールが自然に選ばれている。英語を使って懸命に接客している姿を見ながら、時の流れを感じないわけにはいかなかった。


 日本人の富裕層も、どんどんシンガポールへ移住を始めている。なかでも30 代ぐらいの若い人が多いようだ。それも家族連れで引っ越してくる。長期または永住を考えてだろう。

 彼らの目的は、英語教育だ。大学の質もアジアではずば抜けて高い。シンガポール国立大学を筆頭に、各大学の教養課程の充実ぶりは欧米の一流校にも引けを取らない。本当に子どもの将来を考えるなら、東京よりシンガポールで教育を受けさせた方が圧倒的に有利であることを、裕福で感度の高い親は気づいてるのだ。

 日本でそこそこの高校や大学を出て、生まれてから死ぬまで日本を一度も出ずに暮らす。そういう人生も否定はしないけれど、採り入れる情報の幅が狭すぎる。発展している、開かれた国で多様な思考を学び、グローバル視点で生き方を探っていく。子どもの幸福を本当に願うなら、そうさせた方がいいに違いない。「家があるのだから将来は継がせる」と、子どもを家に縛りつけるような親は、最低だと思う。人は、生まれたところで死ぬ義務はない。

 僕たちは、おもしろいことがある場所へ、何にも縛られず、自由に行くことができる。長年ずっと僕が言い続けてきたことを、若い世代の親が海外移住という形で体現してくれているのはうれしい限りだ。

グローバル時代の都市国家の最新モデル  

 シンガポールの経済成長は、規制緩和・新自由主義・独裁政治の成功に尽きる。初代首相リー・クアンユーの長い独裁政治によって、経済改革がスムーズに成されてきたし、治安も格段に良くなった。やや乱暴な言い方になるけれど、「明るい北朝鮮」みたいな国だ。

 シンガポールでは、個人のキャピタル・ゲインは課税ゼロ。法人税も17 %ぐらい。富裕層にはありがたい税制優遇で、海外の投資家たちが続々と集まってきている。僕も現地でファンドを立ち上げた。お金持ちが押し寄せ、大きなビジネスの動く環境が整っているから、活性化はさらに進むはずだ。

 クラブに行くと現地に暮らす人種の多様さがよくわかる。以前は現地のお金持ちばかりだったが、いまは南米系・白人・黒人・アジア系など肌の色の違う人たちでフロアはあふれていた。
 きゃりーぱみゅぱみゅのシンガポールライブにも行った。きゃりーはライブのMCも歌詞も全編、日本語のままだった。けれどシンガポールのお客さんは、すごい盛り上がり。アーティストの分野では、日本人だからというハードルは、ほとんどなくなっている。

 日本独自のものを外国でいかに適応させるか。昔は企業やアーティストが腐心したかもしれないけれど、いまは発信するものがたしかなら、そんなのはどうでもいいのだ。
 シンガポールの活気は、かつてのシリコンバレーに似ていると思った。規制を緩くして、アイディアを持った若者たちを引きつけ、イノベーションの生まれる街をつくりあげた。これはグローバル時代の都市国家が目指すべきモデルのひとつだ。

 でも本当なら、東京がそうあるべきだったはずなのに、と僕は思ったりもする。

次回は3/22更新予定


激変する世界、激安になる日本。世界中を巡ってホリエモンが考えた仕事論、人生論、国家論。


『君はどこにでも行ける』堀江貴文

はじめに 世界は変わる、日本も変わる、君はどうする
1章 日本はいまどれくらい「安く」なってしまったのか
2章 堀江貴文が気づいた世界地図の変化〈アジア 編〉
3章 堀江貴文が気づいた世界地図の変化〈欧米その他 編〉
4章 それでも東京は世界最高レベルの都市である
5章 国境は君の中にある
特別章 ヤマザキマリ×堀江貴文[対談] 無職でお気楽なイタリア人も、ブラック労働で  辛い日本人も、みんなどこにでも行ける件
おわりに

この連載について

初回を読む
君はどこにでも行ける

堀江貴文

街角で〝爆買い〟する中国人観光客を横目で見た時に感じる「寂しさ」の正体はなんでしょう。出口の見えない不況の中で、気づけば日本はいつの間にか「安い」国になってしまいました。 出所から2年半の間に、28カ国58都市を訪れた堀江貴文さ...もっと読む

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コメント

joearamaki 北朝鮮同様にシンガポールも滅ぼせ こいつらを滅ぼさないと市場に金が出て行かない 約2年前 replyretweetfavorite

BOtouchbo トップダウンの規制緩和 約3年前 replyretweetfavorite

janghyun_lee 「規制を緩くして、アイディアを持った若者たちを引きつけ、イノベーションの生まれる街をつくりあげた」これだよ、いまの日本にほしいのは。 https://t.co/Msu0mEv4ej 3年以上前 replyretweetfavorite

takashiuenoyama 今でも日本はアジア1位とか思ってる人多いんだろうな〜 3年以上前 replyretweetfavorite