瞑想は万能の力を鍛えるベースメソッド
姿勢と呼吸を整える——。
じつは、この2つは「瞑想」の基本動作でもあります。
なぜ突然、瞑想の話になるのか、訝しく思われるかもしれません。
「宗教的な方面はちょっと敬遠したい」
「空中浮遊とか、アブない世界に近づくようで怖い」
瞑想というとそのような印象を抱く人もいるでしょう。予防医学の研究をしているわたしも、瞑想に対して、以前は同じような印象を持っていました。
でも、安心してください。瞑想は、現在ではれっきとした最先端科学の研究テーマになっており、脳科学をはじめとして、瞑想の効果やそのメカニズムにせまる研究成果が次々と生み出されています。
では瞑想をすると、いったいどのような効果が得られるのでしょうか。
瞑想と聞くと、「気持ちを落ち着け、リラックスするためにおこなうもの」というイメージがあると思いますが、リラックスは、瞑想がもたらす効果のひとつにすぎません。わたしはよく、「瞑想は脳の基礎力を鍛えるためのベースメソッドです」というふうに説明しています。集中力、想像力、記憶力、意思決定、モチベーション、コミュニケーション能力など、「仕事力全般のパフォーマンス」を向上させる働きが瞑想にはあるのです。
というと、「いくらなんでも、そんなに何にでも効くというのは誇張では?」と思う人もいるでしょう。集中力を向上したければ、集中力アップに特化したトレーニングをすべきだし、記憶力とコミュニケーション能力のように、まったく関連のない能力をいっぺんに鍛えられるはずはないだろう、と。
その疑問はもっともです。
そこで、具体的な瞑想トレーニングを紹介しながら、瞑想と脳の働きの関係について、科学的に実証されていることをできるだけわかりやすく説明してみることにします。
ただし、みなさんにとって大事なことは、瞑想のメカニズムを学ぶことよりも、実践して疲れない脳をつくることです。ですから、これから紹介する瞑想の方法も、読んで納得するだけでなく、1日5分でもいいので、今日からぜひ実践してみてください。
集中力、記憶力、意思決定を鍛える「集中瞑想」
瞑想をするうえで大切なことは、「調身」「調息」「調心」の3つです。すなわち、姿勢、呼吸、心を整えるということです。