第150回 波の広がり(後編)

ミルカさんが提示した《フーリエ展開》に挑む!……「波の広がり」第5章後編。
【お休みの予告】
結城浩です。いつもご愛読ありがとうございます。 おかげさまでこのWeb連載も今回で第150回を迎えることになりました! みなさまの応援に感謝します。

さて、たいへん恐れ入りますが、さらなるパワーアップをはかるため、 このWeb連載の更新を4月1日までお休みさせてください。

日程は以下の通りです。ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

Web連載「数学ガールの秘密ノート」予定

・2016年3月11日(金)第150回更新
・2016年3月18日(金)お休み
・2016年3月25日(金)お休み
・2016年4月 1日(金)お休み
・2016年4月 8日(金)第151回更新
・(以後、毎週金曜日更新)
登場人物紹介
:数学が好きな高校生。
テトラちゃんの後輩。好奇心旺盛で根気強い《元気少女》。
ミルカさん:数学が好きな高校生。のクラスメート。長い黒髪の《饒舌才媛》。
瑞谷先生:司書の先生。定時になると下校時間を宣言する。
$ \newcommand{\HIRANO}{\unicode[sans-serif,STIXGeneral]{x306E}} \newcommand{\VEC}[3]{\left(\begin{array}{c} #1 \\ #2 \\ #3 \end{array}\right)} \newcommand{\EE}{\vec{e}} \newcommand{\SQRT}[1]{\sqrt{\mathstrut #1}} $

図書室

「ともかく、答えをまとめてみるよ」

解答1(?)
数列$a_n,b_n$を、 $$ \left\{\begin{array}{llll} a_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\cos nx \,dx \\ b_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\sin nx \,dx \\ \end{array}\right. $$ のように定めると、 $$ f(x) = \sum_{k = 0}^{\infty} (a_k\cos kx + b_k\sin kx) $$ が成り立つ。

テトラ「……」

ミルカ「……」

「そうだ。具体例に進もうよ! 僕が具体例を持ってる。先日、ユーリと遊んだときにちらちらと見えていた《波》だ。 この平らな波をフーリエ展開してみよう!」

ミルカ「ふむ、それもいいが、その前にやることがある」

「やること?」

ミルカ「この《解答1(?)》の誤りを一つ見つけること。フーリエ展開の可能性という話ではなく、単純な誤りを」

「単純な誤りがあるって?」

テトラ「……」

「収束条件ではないんだよね?」

ミルカ「フーリエ展開ができる$f(x)$の条件ではないし、関数の収束条件でもない。もっと単純で、明白な誤りがある」

テトラ「あ、あのですね……《$n$の条件》でしょうか?」

ミルカ「テトラはそれを具体的に言う」

テトラ「あたしが計算していた定積分では、$m$も$n$も《$1$以上の整数》という条件が付いていました。 でも、先ほどの先輩の解答1(?)では、 $a_n$や$b_n$に対する$n$に何も条件が付いていなかったので……」

「ちがうよ、テトラちゃん」

ミルカ「そこだよ、テトラ」

「あれ? 確かにさっきの解答では条件を付けなかったけど、$n$は$0$以上の整数にして構わないはずだよ」

ミルカ「$n = 0$でも?」

「大丈夫。だって、$\cos nx = \cos 0x = 1$だし、$\sin nx = \sin 0x = 0$になるだけのことだから。 つまり、$n = 0$のときは自動的に、 $$ \left\{\begin{array}{llll} a_0 &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\cos 0x \,dx \\ &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x) \,dx \\ b_0 &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\sin 0x \,dx \\ &= 0 \\ \end{array}\right. $$ になってくれる。つまり$f(x)$の定数項として、$a_0$を作り出すことができるはず。 これは、$\sum$と$\int$の交換や関数の収束を前提とすれば、 証明もできるはずだよ」

ミルカ「どんなふうに?」

「こんなふうに……ええと、要するに、$$ f(x) = \sum_{k=0}^{\infty} \left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) $$ に対して $$ \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x) \,dx $$ という定積分を実行すればいいんだよ。それでちゃんと$a_0$が出てくるから」

テトラ「それは先ほどやったような……(第149回参照)」

「うん、さっきは一般的にさらっと書いたから、$n = 0$のときを明示的にやってみればいいだけのこと。この定積分だね」

$$ \begin{align*} \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} \left\{\sum_{k=0}^{\infty} \left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) \right\} \, dx &= \cdots \\ \end{align*} $$

「これで$k = 0$の項だけを外に出して、$\cos 0x = 1$と$\sin 0x = 0$を使う」

$$ \begin{align*} & \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} \left\{\sum_{k=0}^{\infty} \left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) \right\} \, dx \\ &= \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} \left\{a_0\cos 0x + b_0\sin0x + \sum_{k=1}^{\infty} \left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) \right\} \, dx \\ &= \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} \left\{a_0 + \sum_{k=1}^{\infty} \left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) \right\} \, dx \\ \end{align*} $$

テトラ「……」

「次に、積分と和の交換。ここはほんとうはちゃんと証明が要るはずだけど」

$$ \begin{align*} \cdots &= \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} a_0 \, dx + \dfrac{1}{\pi}\sum_{k=1}^{\infty} \left(\int_{0}^{2\pi} a_k\cos kx + b_k\sin kx \, dx \right) \\ \end{align*} $$

ミルカ「……」

「この$\sum$の中は$k$回振動する$\cos$や$\sin$だから、$0$から$2\pi$まで積分したら結局$0$になる。残りは定数の積分だから……」

$$ \begin{align*} \cdots &= \dfrac{1}{\pi}\int_{0}^{2\pi} a_0 \, dx + 0 && \text{($\sum$ $\HIRANO$中はすべて$0$)} \\ &= \dfrac{1}{\pi}\biggl[\,\, a_0x \,\,\biggr]_{0}^{2\pi} \\ &= \dfrac{1}{\pi}\left( a_0\cdot 2\pi - a_0\cdot 0\right) \\ &= \dfrac{1}{\pi}\cdot 2\pi a_0 \\ &= 2a_0 \quad \text{えっ!?} \\ \end{align*} $$

「えっ!?」

テトラ「定積分の結果、$a_0$が出てくるはず……ですが?」

「$2a_0$になってしまった……」

ミルカ「だから、そこが誤り。いま君が計算してくれたとおり、$n = 0$のとき、同じ式ではフーリエ係数は得られない。同じ式では$2$倍になってしまう。だから、フーリエ係数を求める式はこれが正しい。$a_0$の分母に注意」

解答1
数列$a_n,b_n$を、 $$ \left\{\begin{array}{llll} a_0 &= \dfrac{1}{2\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x) \,dx \\ b_0 &= 0 \\ a_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\cos nx \,dx \qquad (n = 1,2,3,\ldots)\\ b_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\sin nx \,dx \\ \end{array}\right. $$ のように定めると、 $$ f(x) = \sum_{k = 0}^{\infty} (a_k\cos kx + b_k\sin kx) $$ が成り立つ。

「うわ、$a_0$だけ違うのか! これは、意外な落とし穴だなあ……」

テトラ「条件を確認するのは大事なんですね……」

ミルカ「$a_0 = \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x) \,dx$のままで行くなら、$$ f(x) = \frac{a_0}{2} + \sum_{k = 1}^{\infty} (a_k\cos kx + b_k\sin kx) $$ のように表す方法もある」

「なるほど」

矩形波のフーリエ展開

ミルカ「話が飛んでしまった。君がフーリエ展開したいといってた波があったね」

「そうそう。これはね、このあいだユーリと遊んでいたときに気になってた波なんだ。$$ \frac{\sin1x}{1} + \frac{\sin3x}{3} + \frac{\sin5x}{5} + \cdots $$ のように奇数$n$を使って$\frac{\sin nx}{n}$の和を作ると、 こんなふうに四角い波っぽくなったんだよ」

ミルカ「ふむ」

「だから、こういう平らな波を考えてみたいんだ」

ミルカ「矩形波(くけいは)だね」

「矩形波? うん、だから、その矩形波のグラフを$y = f(x)$だと考えれば、フーリエ展開の方法で$\dfrac{\sin nx}{n}$という形の項が出てくるんじゃないかって……そう思わない?」

ミルカ「それは確かに出てきそうだな」

「だよね」

テトラ「せ、先輩方! ただいま、テトラは置いてけぼりになりかけています! しばし、お待ちを! 頭を整理させてください」

  • あたしたちは波の重ね合わせが作る波のことを考えています。
  • 特に、サインカーブを作りだしている$\sin$と$\cos$という三角関数の重ね合わせに注目してきました。
  • もう少し正確には、$\sin nx$と$\cos nx$という関数です。
  • これは、$x$が$0$から$2\pi$まで動く間、$n$個の波を作る関数です。
  • それらを加えていって……ええと?

「係数を掛けた上で加えるんだね」

ミルカ「線型結合」

テトラ「あ、そうでした。そうでした」

  • $a_0\cos0x + b_0\sin0x + a_1\cos1x + b_1\sin1x + \cdots$のように加えていきます。
  • 三角関数のそのような和が、波の重ね合わせとなって、ある一つの関数$f(x)$になったとします。
  • それは、つまり、$f(x) = \sum_{k=0}^{\infty}\left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right)$という形です。
  • $f(x)$をこのように表現するのがフーリエ展開です。
  • ここで大事になってくるのが$a_0,a_1,a_2,\ldots$と$b_0,b_1,b_2,\ldots$という数列です。
  • この数列が$f(x)$を表すことになるからです。
  • それから、ええと、あとは……

「数列$a_n$と$b_n$を求める方法だね」

ミルカ「フーリエ係数」

テトラ「ですね!」

  • フーリエ係数$a_n$と$b_n$を求めるのに、先ほどの解答1のような定積分を使います。
  • (そうでした、そうでした。$m \neq n$と$m = n$のときで$\cos mx\cos nx$や、$\sin mx\sin nx$などの定積分を場合分けしました)

「そしてこれから、矩形波を実際に定積分して、ほんとうにフーリエ係数が求まるかを試してみようとしているわけだね」

テトラ「ふう……ようやく先輩方に追いつきましたっ!」

ミルカ「問題を立てると、こうなるな」

問題2
グラフが以下のようになる関数$y = f(x)$がある。


$f(x)$が、 $$ f(x) = \sum_{k=0}^{\infty}\left(a_k\cos kx + b_k\sin kx\right) $$
とフーリエ展開できると仮定して、 フーリエ係数$a_0,a_1,a_2,\ldots,b_0,b_1,b_2,\ldots$を求めよ。

テトラ「……先輩、でも、こんなにがたがたになった関数の積分なんてできるんですか? あたしができる積分というのは、$x^2$や$e^x$や$\sin x$や$\cos x$や……ぜんぶ、つながった関数なんですけれど」

「うん、そうだね。僕たちがふだん問題で解くのはつながった関数……連続関数のことが多いけど、これは大丈夫。積分区間で分けて考えればいいんだよ。 ほら、たとえば、$x$が$0$から$\pi$までの範囲では、$f(x)$は$1$という《定数関数》になるよね?」

テトラ「……あっ、そうですね。定数関数の積分はあたしもできます! ははあ……ここにも《場合分け》が出てくるんですね」

「積分は結局は和なんだから、積分区間で足せばいいし」

ミルカ「まず、$f(x)$を……」

「そうだね。まず$f(x)$を式で表さないと。やみくもに積分積分と言ってもばかりいてもしょうがないから。グラフから、たとえばこんなふうに書けるね。 $$ f(x) = \left\{\begin{array}{llll} 1 & && 2n\pi \leqq x < (2n+1)\pi \\ -1 & && (2n+1)\pi \leqq x < 2(n+1)\pi \\ \end{array}\right. $$ ただし、$n$は整数」

テトラ「ちょっとお待ちください。$n = 0$のときは$0 \leqq x < \pi$で$f(x) = 1$で、$\pi \leqq x < 2\pi$で$f(x) = -1$ですね……はい、わかりました。 これは《$\pi$の偶数倍》と《$\pi$の奇数倍》の範囲をつなぎあわせているんですね」

「$a_0$から行くよ。これは一瞬だね」

$$ \begin{align*} a_0 &= \dfrac{1}{2\pi} \int_0^{2\pi} f(x) \, dx \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} f(x) \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} f(x) \,dx \right) \qquad \text{積分区間を分けた}\\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} 1 \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} (-1) \,dx \right) \qquad \text{場合分けした$f(x)$より} \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\biggl[\,\, x \,\,\biggr]_0^{\pi} + \biggl[\,\, -x \,\, \biggr]_{\pi}^{2\pi}\right) \qquad \text{積分した} \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\pi - 0 + (-2\pi) - (-\pi) \right) \\ &= 0 \\ \end{align*} $$

ミルカ「ふむ。$f(x)$は奇関数だから、$0$になるのは予想が付くな」

「なるほどね。偶関数である$\cos nx$の係数は$0$になるわけだね」

ミルカ「もちろん、いまは計算練習をしているわけだから、それは検算用の考えになるけれど」

テトラ「あ、あの、$b_0$も一瞬です!」

ミルカ「$0$だからな」

「$0$だからね」

テトラ「……です」

「じゃ、今度は$n = 1,2,3,\ldots$のときの$a_n$を求めるよ。基本はさっきと同じように積分区間を分けるんだけど、今度は$\cos nx$が出てくるわけだよね」

$$ \begin{align*} a_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\cos nx \,dx \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} f(x)\cos nx \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} f(x)\cos nx \,dx \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} \cos nx \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} (-\cos nx) \,dx \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\biggl[\,\, \frac{\sin nx}{n} \,\,\biggr]_0^{\pi} + \biggl[\,\, -\frac{\sin nx}{n} \,\, \biggr]_{\pi}^{2\pi}\right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(0 - 0 + (-0) - (-0) \right) \\ &= 0 \\ \end{align*} $$

「うん、やはり予想通り$0$になったね」

テトラ「……先輩、この途中の式なんですが」

$$ \cdots = \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} \cos nx \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} (-\cos nx) \,dx \right) $$

テトラ「これって、このようにマイナスを前に出すことができますよね?」

$$ \cdots = \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} \cos nx \,dx - \int_{\pi}^{2\pi} \cos nx \,dx \right) $$

「うん、そうだね」

テトラ「だったら、同じ$\cos nx$という関数を積分しているんですから、$\int_{0}^{\pi}$と$\int_{\pi}^{2\pi}$という二つの積分区間を一つにまとめて$\int_{0}^{2\pi}$にしてもいいですよね。 つながっている区間で同じ関数を積分するんですから。 それなら、一気に$0$だと求められますよ!」

$$ \begin{align*} \cdots &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} \cos nx \,dx - \int_{\pi}^{2\pi} \cos nx \,dx \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{2\pi} (\cos nx - \cos nx) \,dx \right) \quad \text{(?)} \\ &= 0 \\ \end{align*} $$

「ああなるほど……じゃない、それはだめだよ、テトラちゃん。そんなことをしたら、二つの関数を別の区間まで伸ばして積分してることになるから」

テトラ「え……?」

ミルカ「それでは伝わらない。テトラの混乱は、一般的に書けばすぐ解ける。いまテトラがやろうとした積分の操作はこれだ。こんなことはできない」

$$ \int_0^\pi f(x) \,dx - \int_\pi^{2\pi} g(x) \,dx = \int_0^{2\pi} \left(f(x) - g(x) \right) \,dx \qquad \text{(?)} $$

テトラ「あっ、そうですね。うっかりしました。$\cos nx$という同じ顔を見てしまったもので……」

ミルカ「ここまでで$a_0 = a_1 = a_2 = \cdots = 0$が得られた。偶関数の成分はすべて$0$だ」

「いよいよ$b_n$だね」

テトラ「あ、あたし、計算します! 式の途中までは先ほどと同じですから……」

$$ \begin{align*} b_n &= \dfrac{1}{\pi} \int_{0}^{2\pi} f(x)\sin nx \,dx \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} f(x)\sin nx \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} f(x)\sin nx \,dx \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\int_0^{\pi} \sin nx \,dx + \int_{\pi}^{2\pi} (-\sin nx) \,dx \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\biggl[\,\, \frac{-\cos nx}{n} \,\,\biggr]_0^{\pi} + \biggl[\,\, -\frac{-\cos nx}{n} \,\, \biggr]_{\pi}^{2\pi}\right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(\frac{-\cos n\pi}{n} - \frac{-\cos 0n}{n} - \frac{-\cos 2n\pi}{n} + \frac{-\cos n\pi}{n} \right) \\ &= \dfrac{1}{2\pi} \left(- \frac{\cos n\pi}{n} + \frac{1}{n} + \frac{1}{n} - \frac{\cos n\pi}{n} \right) \\ &= \dfrac{1}{2n\pi} \left(2 - 2\cos n\pi \right) \\ &= \dfrac{1}{n\pi} \left(1 - \cos n\pi \right) \\ &= \dfrac{1 - \cos n\pi}{n\pi} \\ &= \text{あ、あれれ……?} \\ \end{align*} $$

テトラ「あ、あれれ……? あたし、計算ミスしてます?」

「どうして、そう思ったの?」

テトラ「だって、$\cos$が出てしまいました。先輩、先ほど$\frac{\sin nx}{n}$になるとおっしゃってませんでしたか? $\sin$が出るはずなのに、$\cos$が出てきました!」

「テトラちゃん、テトラちゃん、落ち着いて。さっき僕がいった$\frac{\sin nx}{n}$というのは、和の各項だから、係数には$\sin$は出てこないよ。$\sin nx$の係数は$\frac{1}{n}$だね」

テトラ「だったら、なおさらです。$\cos$が出てきたら……」

ミルカ「テトラは$\cos n\pi$が三角関数に見えるのか」

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数学ガールの秘密ノート

結城浩

数学青春物語「数学ガール」の中高生たちが数学トークをする楽しい読み物です。中学生や高校生の数学を題材に、 数学のおもしろさと学ぶよろこびを味わいましょう。本シリーズはすでに13巻以上も書籍化されている大人気連載です。 (毎週金曜日更新)

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コメント

drug_discovery 「手を動かして書きたい数式」っていい表現 4年以上前 replyretweetfavorite

aramisakihime 楽しい!「手を動かして書きたい数式」のひとつです(←「声に出して読みたい日本語」のイメージで)。 4年以上前 replyretweetfavorite

chibio6 大きさが1で互いに直交するベクトルに矛盾を感じている。m=nでなければ大きさが1にならないけれど、それだと直交しないのでは?と思ってしまう。どうなのだろうか。 4年以上前 replyretweetfavorite

chibio6 前回の答えの予想、まったく違っていた…。よく見ると148回にcos0xの係数をa0/2とするということが書いてあった。今回、ベクトルに関してはゆっくり理解したい。 4年以上前 replyretweetfavorite