第1回】サプリをめぐって健康被害相次ぐ

日本人の健康志向は根強く、健康食品は今や2兆円市場の巨大産業に成長した。だが、その内実は未成熟なままのようだ。

 腹がぽっこりと出た人気お笑いタレント2人が激しい運動もせずに、相次いで引き締まった体になったとのテレビCMで有名になったサプリメントがある。

 「食事制限嫌い、運動嫌いな方のダイエットをサポート」というキャッチコピーの効果は絶大で、男女問わずダイエット志向の消費者が飛び付き、あっという間に人気に火が付いた。サプリの売り上げランキングでは常に上位に入る大ヒット商品だ。

 だが、このサプリをめぐって、発売当初から、消費者が相次いで健康被害を訴えている。

 東京都内に住む30代の女性は、このサプリを飲んだその日、妙な動悸と、熱っぽさを覚えた。翌日には激しい嘔吐と下痢を繰り返すようになり、一切の食べ物を受け付けなくなったという。

 「ひとときもトイレから離れることができないほどの腹痛に加え、じんましんまで出た。3日間寝込んで会社を休まざるを得なくなった」(30代女性)

 いわゆるメタボに悩んでいた中年の男性は、妻からこのサプリをプレゼントされた。「心配してくれているんだ」とうれしくなって早速飲んだところ、下痢をはじめ、目まいや立ちくらみを覚え、寝込んでしまったという。

 症状の程度にこそ違いはあれど、多くの人が通常の色ではない便が出たり、下痢の症状を訴えたりしている。

 「ダイエットなんだから下痢で出して痩せるんだろう」などと考えるのは大きな間違い。日常生活で下痢をすれば薬を服用する人も多いはず。これも立派な健康被害である。

 もちろん、すべての利用者が発症したわけではなく、生活環境や食生活によっても異なるため、このサプリが原因だと一概に言い切ることはできない。ただ、いずれのケースも飲むのをやめた途端、症状は改善しており、何らかの影響があったものと推察される。

 現に、被害の相談を多数受けた公的な機関が成分を調査、体への影響について現在、研究を開始している。

全貌が研究されていない
原料のハーブが原因か

 実はこのサプリを販売している健康食品メーカー、2003年にもやはりダイエット系のサプリで同様の事態を引き起こしている。

 このときは、メリロートと呼ばれるマメ科のハーブを原料としたサプリで、原因と疑われる肝機能障害の事例が2件、厚生労働省に報告されている。ちなみにその際には、社名まで公表されたものの、因果関係が明らかではないとしていまだに販売を継続している。

 そして今回のサプリもやはりハーブで、コレウス・フォルスコレリというインドやタイ、ミャンマーなどに自生するシソ科の多年草を原料としている。

 この多年草から抽出されるフォルスコリンという成分が、脂肪の分解を促進するという論文は存在する。ただ、コレウス・フォルスコレリの中のわずか10%にすぎず、それ以外の成分に関する分析は行われていないままだ。

 このメーカーでは、12人の男女を対象に8週間にわたる臨床試験を実施、体重は減り、軽度の消化器症状以外は特に問題はなかったと米国生薬学会で発表している。

 ただ、事情に詳しい専門家は、「学会は特に厳しい審査があるわけではなく、誰でも発表できる」と言い、発表したからといって安全だとも言い切れない。

 これに対しメーカーは「便通に影響を受ける方が多い傾向があるので『過剰摂取は避け、体調に合わせ摂取量を調整して』と記載している」とコメントしている。

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