トランプにハイジャックされた共和党の奥の手

2016年はアメリカ合衆国大統領選挙の年! 先日行われた大一番「スーパー・チューズデー」では、共和党はトランプの大勝となってしまいました。まさかの冗談候補が首位を独走し、パニック状態の共和党内では、お偉いさんたちが奥の手を練っているそうで……
アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんによる、アメリカ大統領選のやじうまレポートをぜひお楽しみください。

先週のスーパー・チューズデーでは、トランプが大勝し、共和党の指名候補になる確率が高まった。

昨年までトランプを「冗談候補」として軽く扱ってきた共和党のエスタブリッシュメント(党内で権力、影響力を持つえらいさん)は、現在パニック状態だ。
なんせ、それまで共和党にすら加わっていなかったトランプが、いきなり飛び込んできて共和党の有権者をどんどん奪い、エスタブリッシュメントが推す候補を退けて、予備選に勝とうとしているのだ。

この状況は、企業の「敵対的買収」に似ていると、MSNBC(ニュース専門のテレビ局)で政治番組の司会をしている元共和党下院議員のジョー・スカボロは言う。通常、会社が別の会社を買収するときには、双方の親会社や取締役などが細かいところまで話し合う。でも、「敵対的買収」では、相手の意向などは無視し、株を買い集めて、その企業を買収する。

第7代アメリカ大統領アンドリュー・ジャクソンの伝記でピューリッツァー賞を受賞したジョン・ミーチャムの表現は、もっとわかりやすいかもしれない。
ドナルド・トランプは、政党をまるごとハイジャックするのに成功した。パイロットたちは、なぜ乗客の誰も自分の味方になってくれないのかまったくわからない。彼らはハイジャッカーのほうを拍手喝采で歓迎しているのだ」

共和党のエスタブリッシュメントは、「トランプは、共和党の価値観なんか信じてはいない。嘘つきだ。言うことを聞いてはいけない」と必死に呼びかけるのだが、党員たちは耳をかさない。そのうえ、よそ者までがトランプを応援するために共和党に押し寄せる。予備選では、その党に属していなくても投票できる「オープン」システムを使う州が多いのだが、通常はあまり影響はない。だが、今年の選挙では、無所属や民主党の一部までもが共和党の予備選に参加してトランプに票を投じている。

まことに気の毒な状況なのだが、共和党にこの危機をもたらした張本人は、国や国民のための政治よりも「民主党に勝つ」ことを優先してきた共和党のリーダーたちなのだ。

「愚かな貧乏人」と見くびった共和党のエリートたち

じつは、共和党と民主党にはおもしろい歴史がある。

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アメリカ大統領選、やじうま観戦記!

渡辺由佳里

みなさん、2016年は4年に一度の祭典、オリンピック!ではなく、いいや「アメリカ合衆国大統領選挙」の年です。世界情勢にもつよい影響をおよぼす、オバマ大統領につづく大統領は誰なのか? アメリカ在住の作家・渡辺由佳里さんが、このビッグイベ...もっと読む

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コメント

YukariWatanabe @sigesige00 共和党の予備選ではここに書いたようにあり得ますが、民主党と本選では数字の上で不可能ですね。https://t.co/7lXhJtagI5 1年以上前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe マルコ・ルビオは「お茶会」を利用して彗星のように現れた。そのツケを今払っている。その背景はこちらをどうぞ> 1年以上前 replyretweetfavorite

knnkanda ふむふむ…ここまで呼んで無料で試読とか面倒くさい時代だ…。 https://t.co/hpNEXVg6sa 1年以上前 replyretweetfavorite

Lythiriana わかりやすい。 1年以上前 replyretweetfavorite