ツチヤタカユキ
笑いの教科書がオレの遺書。
「好きなこと、10年やった時点で、お前は幸せな奴や」ピンクの言葉に諭されて、車に戻ったツチヤタカユキさん。山道を進むレンタカーの車内で、ツチヤさんはある思いを打ち明けます。お笑いを極めるほど、絶望を味わった11年間。別れ際にピンクが言い残した言葉とは――。
他を圧倒する量と質、そして「人間関係不得意」で知られる伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキさん。その孤独にして熱狂的な笑いへの道ゆきが、いま紐解かれます。
夜の山道を走りながら、チューハイが回りほろ酔いになってきた頃、僕はずっと考えていたことを、ピンクに話した。
「お笑いにはな、どうやったらオモロなるかとかな、どうやったらええネタ書けるようなるかとかな、ちゃんとした正式なやり方があるねんやん?」
「そうなん」
「オレ、お笑いやめる時な、それ全部バラしてから、やめたろ思ってんねん」
「なんで?」
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出版社からの書籍化希望が殺到した青春私小説の傑作。cakesの連載を大幅に加筆し、ついに書籍化!
この連載について
ツチヤタカユキ
他を圧倒する量と質、そして「人間関係不得意」で知られる伝説のハガキ職人・ツチヤタカユキさん、二七歳、童貞、無職。その孤独にして熱狂的な笑いへの道ゆきが、いま紐解かれます。人間であることをはみ出してしまった「カイブツ」はどこへ行くのでし...もっと読む
著者プロフィール
昭和63年3月20日生まれ。大阪市出身。高卒(ほぼ通っていなかったため実質的には中卒)。アルバイト遍歴約30個。あるコンビの漫才作家。資格は速読検定初段のみ。死ぬ時に、「おもしろい人生やったな」と思いながら死にたい。