保護観察官にピンクが会いにいってから30分ぐらい経っただろうか。
だるそうに戻って来た車に、僕は乗り込んだ。
ピンクは焦った顔をしていた。
「どうやった?」
「ヤバイわ」
「何があったん?」
「次、給与明細持って来い、言われた」
「ヤバイな。風俗嬢のヒモってバレたら、ムショに戻されてまうんやろ?」
「せや。どうしよ」
「ガチでタクシー運転手やれや」
「せやな。それしかないわ。なあ?」
「なんや?」
「このレンタカー、24時間借りてんねん。だから、24時間、ドライブせえへん?」
「ええよ。缶チューハイもう一本買うて」
「お前、めっちゃ調子乗り出したのう」と、ピンクは笑った。
コンビニで買ってもらった、新しい缶チューハイを飲む。
そんな僕を見て、ピンクは言った。
「あの頃のお前は、どこに行ってん」
これが自堕落な本来の僕の姿だ。