観る前に読め! アカデミー賞2016の楽しみ方

本命は『マッドマックス』? アカデミー賞ノミネート作品を徹底解剖!

2016年アカデミー作品賞にノミネートされたのはどの作品? 映画評論家の松崎健夫さん、中井圭さん、芸人のサンキュータツオさんが、注目作品を振り返ります。日本でも評判の高かった『マッドマックス』は一体どこがすごいのか? そして、アカデミー賞にありがちな「クリストファー・ノーランあるある」現象とはなんなのでしょうか。

評論家が大絶賛する『マッドマックス』

サンキュータツオ(以下、タツオ) それではいよいよ、アカデミー賞ノミネート作品から、お二人の注目作品を教えていただきましょうか! ちなみに、今年の作品賞にノミネートされた8作品は以下のようになっています。

『マネー・ショート 華麗なる大逆転』
『ブリッジ・オブ・スパイ』
『ブルックリン』
『マッドマックス 怒りのデス・ロード』
『オデッセイ』
『レヴェナント:蘇えりし者』
『ルーム』
『スポットライト 世紀のスクープ』

中井圭(以下、中井) いやー、やっぱり『マッドマックス』きましたね! 日本でもあれだけ盛り上がった作品が入ってきてくれました。下馬評を見ていても、主要部門の賞を取りそうなムードが漂っていますね。

松崎健夫(以下、松崎) この前『キネマ旬報』(※)のベストテンが発表されたのですが、『マッドマックス』が外国映画部門の1位でした。日本の評論家からも高い評価を受けていますね。

※1919年7月創刊の映画雑誌。毎年、映画評論家たちが選ぶベストテンの映画を発表している。

タツオ そうなんだ! 意外ですね。大衆映画だと思っていました。

松崎 娯楽性と芸術性を兼ね備えながら映画ファンをにぎわせた、2015年を代表する重要な作品だと思いますね。

中井 実に10部門でアカデミー賞にノミネートされていますしね。やっぱり評価は高いですよ。ただ技術部門でばんばんノミネートされると、作品賞みたいな主要部門で落選するっていうケースがよくあるので、そこが不安です。この現象を「クリストファー・ノーラン(※)あるある」って言うんですが(笑)。

※『ダークナイト』、『インセプション』、『インターステラー』などを手がけた映画監督。彼の作品は、その高い映像技術に定評がある。

松崎 彼の作品は技術部門でばかり賞を取る(笑)。あともう1つ不安な点をあげるとしたら、興行成績がよくなかったことかな。

タツオ なるほど〜。実は、さっきまで映画評論家の町山さんがこの場にいらっしゃったんですけど、「『マッドマックス』は制作費がかかりすぎて、元を回収できなかった」というお話をされてましたよね(※)

※今回の対談は序盤に映画評論家の町山智浩さんが参加していました。

中井 おっしゃってましたね。「普通の映画だったら、クライマックスは長くても上映時間の半分以内には収まるけれど、『マッドマックス』は最初から最後まですべてがクライマックス。通常、クライマックスシーンはほかのシーンの5〜10倍の制作費がかかるから、『マッドマックス』は全体として、普通の映画の何倍も制作費がかかっていることになる」と。

タツオ 普通の映画の何倍も動員しなくちゃいけないって、つらいですね。

松崎 でも、前向きな要素もありますよ。それは『マッドマックス』の監督がオーストラリア人だということです。
 去年、作品賞を受賞した『バードマンあるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の監督はメキシコ人だったんですが、もしかしたらアカデミー賞全体に、これまで評価してこなかったアメリカ以外の国の映画人も積極的に評価しよう、という流れが生まれてきているかもしれません。

タツオ なるほど。もしそうだとしたら、『マッドマックス』受賞の追い風になりますね。

「言葉」の力を信じた映画『スポットライト』

中井 他に際立って前評判が高い映画は『スポットライト 世紀のスクープ』ですね。

タツオ 町山さんいわく「『スポットライト』は『マッドマックス』と対照的で、ビジュアル的な見せ場がゼロの映画」ということでしたが、この映画の魅力はどこにあるんでしょう?

松崎 まず、なぜ見せ場がないのか、から説明させてほしいんですが、『スポットライト』は、時間軸が最初から最後まで一直線の映画だからなんです。

タツオ 「一直線の映画」ですか?

この続きは有料会員登録をすると
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

1週間無料のお試し購読する

cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。

人気の連載

おすすめ記事

この連載について

初回を読む
観る前に読め! アカデミー賞2016の楽しみ方

松崎健夫 /中井圭 /サンキュータツオ

2月29日に迫った、第88回アカデミー賞授賞式。栄えある作品賞を授賞するのは、果たしてどの作品なのか? 映画評論家の松崎健夫さん、中井圭さん、そして芸人のサンキュータツオさんの3人が、受賞作品を大胆に予想していきます。意外と知られてい...もっと読む

関連記事

関連キーワード

コメント

cinebook18 レヴェナントは未見なのでなんとも。作品賞はマッドマックスにとってもらいたいな。 4年弱前 replyretweetfavorite