まだ寒さの残る早春、土の中からポッと顔を出すフキノトウ。じつはこれ、フキの花のつぼみです。フキは、葉を出す前に花を咲かせる植物。「とう」とは、花をつける茎のことで、フキノトウは、その名のとおり「フキの花茎」なのです。
「あの人は、新人と呼ぶにはとうが立っている」などという表現を聞いたことがありませんか? 「とうが立つ」とは、盛りや年ごろを過ぎること。青菜などの野菜は、子孫を残すために花茎をのばすと、かたくて、もはや食用には適しません。その状態を「とうが立つ」といい、それを人の盛りにかけているのです。
フキノトウも、出初めはやわらかいつぼみですが、放っておくと花茎がのび、花を開きます。そうなるとおいしくありません。ですから、収穫できる時期はほんのわずか。ナゼニたちも、つぼみのうちに見つけようと必死なのですね。
フキは、昔から日本に自生していました。キクの仲間で、雌雄別株。ですから、フキノトウにもオスとメスがあります。花が開くとよくわかりますが、淡い黄色に見えるのがオス、白い花がメスです。オスの花茎は花のあと枯れてしまい、メスの花茎は受粉後にぐんぐんのびて、タンポポのように綿毛をつけます。オチビサンが寄り添っているフキノトウは、花を開きかけていますね。オスかメスか、どちらでしょう。