「おちこんだりもしたけれど、私はげんきです」と、”魔女の宅急便”の名コピーがキキのとなりに並ぶ。
世の大半の女子に漏れず、そのあまりに有名な一文を気に入りすぎた私は、自分と重ねてよく心で詠っていたけど、今は思う。
「おちこんだりもしたから、私はげんきです」
こんなにも、精神的な滋養強壮マックス、坂道でもないのに1人ボブスレー、脳内は常に熱中症、24時間?働けますからー!!!!なのは、落ち込んだりしたからなんだ。いろいろあったからなんだ。
だからこそ、現状わたしは元気が過ぎる!と思える。
「修行」だと思い込み苦手な人と2年間付き合った年月。相手の携帯の、予測変換の内容を盗み見て、生まれて初めて交際相手の浮気が分かった日。彼氏宛の手紙をヒントに元カノの実家を探した日。彼氏にポエムを贈り続けた日々。器物破損、潜入捜査、勝手家宅捜索した日々。
それらの後の“落ち込み”をすべて「元気」に変えてくれた、キキの呪文。
しかし、少女が唯一使える最強の魔術を持ってしてもなんともならない思い出がある。一切ネタにできず、未だに引きずっている大失恋。
それが「私の頭の中のラスボス」である。その彼の思い出が強すぎて、ラスボス呼ばわりしている。
どれだけ引きずってるかというと、病院で自分の電話番号を記入するところに間違えてラスボスの番号を記入しそうになったり(暗記している)、SNSでラスボスのことをサーチするのが日課になりすぎて全SNSで検索窓に常に上位だったり、そこで見つけたラスボスの写真をたまにスクショして写真フォルダで見てびっくりしたり、夢に出て来すぎて起きて数分感どっちが現実か分からなくなったりする系の、引きずり方である。
もちろん私の愛は、夫が世界チャンピオンなのだが。
みなさんも、このように徹底的に、ズルズルと頭から離れないラスボスはいませんか?
今回は、地球に1億通りはあるであろうそんな”ターニング失恋”のうちの、たった1つの、個人的な話を通じて、こじらせやメンヘラにとって「元彼」をどうとらえて生きていくのがおすすめかを考えます!
開けわたしの恋愛闇市!
ラスボスにであったのは、20歳前後のことだった。
秋頃、私が大学構内の隅で号泣している時に偶然前を通りかかった、部活の後輩だった。
ちなみに、メンヘラ全盛期の私は道端で泣いていることがデフォルト過ぎて、その日なぜ泣いていたかはまったく思い出せない。
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