​「嫌い」という感情との向き合い方

なにかを「嫌い」と思う感情は誰にでもあるもの。でもあまり表に出してしまうと、それを見せられた相手は辟易してしまいます。今回の「ワイングラスのむこう側」は、そんな「嫌い」の使い方についてです。実は「嫌い」はうまく向き合うと、とても便利な活用法があるんです。

もし何かを「嫌い」と思ったら

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

バーテンダーという仕事をしていると、「ああ、こういう話をずっと聞かされるのってつらいなあ」って感じることがあります。「こういうことを言ってくる上司が嫌い」とか「テレビで見るこういうタレントが嫌い」とか「街で見かけたこういう人が嫌い」といった、「○○が嫌い」という話です。

その人のそのまんまネガティブな発言をずっと受け止めていると、こちらもかなり消耗してしまうので、「どうしてこの人は、その人のことをこんなに嫌っているんだろう?」って客観的に考えることにしています。

みなさんも心理学みたいな本を若いときにいくつか読んだことがあると思うのですが、僕も昔そういうたぐいの本を読んでいて、こんな説に出会いました。

「すべての嫌いという感情は、願望憎悪か同族嫌悪である」

例えば、身近に成功している人がいるとして、「あいつ、どうもいけ好かないなあ」と感じたら、それは「願望憎悪」です。本当は彼のように自分も成功したいけど、そうはなれないから嫌うという感情です。

あるいは、自分も地方出身者なのに、「あいつ、田舎モノなのにあんなにがんばっててみっともないな」って感じたら、それは「同族嫌悪」でしょう。

もちろん、誰かを嫌いと感じる感情って正確にはもっと複雑でいろんな要素があるとは思うのですが、でも、僕の経験上、ほとんどの「嫌い」は「願望憎悪」か「同族嫌悪」という言葉で説明ができるように思います。

僕は「大人になるということは、できるだけ嫌いなことを少なくしていくこと」と常々思っていまして、自分の中で「ああ、あれ嫌いだなあ」という気持ちが芽生えたら、「自分は本当はああいう風になりたいんじゃないかな」とか「自分は本当はあの人と同じ人種なんじゃないかな」と考えて、自分の「嫌い」を戒めることにしています。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

sakurakobasi https://t.co/4Soi2DyoSP 2年以上前 replyretweetfavorite

knwtea 「嫌い」という感情との向き合い方|林伸次 @bar_bossa https://t.co/QcnM3wLmBU 2年以上前 replyretweetfavorite

eikochaaan_note 「嫌い」という感情との向き合い方|林伸次 @bar_bossa https://t.co/TNq7SHFgUT 2年以上前 replyretweetfavorite

nananacky https://t.co/i7xT9wTkiQ 2年以上前 replyretweetfavorite