ケネディスクールで学んだ仕事で使える交渉術

鳩山玲人さんは毎年履歴書を書き、書き換えられるところがないか、伸びていない部分はどこか、などをみつけて本を読んだりスクールに通ったりしているのだそう。著書『世界の壁は高くない』の発売を記念したインタビューは最終回。世界で戦う鳩山さんの思考術に迫ります! cakesの連載とあわせてお読みください。 聞き手:加藤貞顕(cakes)

ケネディスクールで学んだ交渉術

— ケネディスクールにはいつごろ行かれていたんですか?

鳩山玲人(以下、鳩山) 2011年から12年にかけてですね。

— 事業が軌道に乗ったころですか?

鳩山 はい、そうですね。でもちょうど転機でいろいろなジレンマに陥っていた時期でもあって。そんな時にウェブで「危機的状況の時にどうやって克服するか」っていうケネディスクールの講座を見つけたんです。これは今の自分にピッタリじゃないかと。

— それはまさに(笑)。

鳩山 例えば、国境紛争しているエクアドル軍がペルー軍に囲われて、国を明け渡しなさいと言われた時にどうやって交渉するか?とか、あるいは子供が誘拐されて、警察がどうやってネゴシエーションするか、みたいな。

— そこまで実践的なことを勉強するんですか!

鳩山 ケネディスクールのネゴシエーションチームって有名で、そういった事件があると呼ばれて実際に交渉役をやるんですよ。そういうチームに教えてもらえるからものすごく面白いですよ。

— それは勉強になりそうですねえ。

鳩山 考え方の部分ですごく勉強になりますね。例えば、誘拐事件が起きた時に、ネゴシエーターのゴールって開放させるところにしかないんです。あとは誘拐犯が捕まるか殺されるかくらいしかオプションがない。だけど追い詰めると極端な方に行ってしまうから、説得して納得してもらうプロセスが重要なんです。

— たしかにそうですね。

鳩山 そういう時、ネゴシエーターがなにをするかというと、共通項を探っていくんです。例えばTシャツが野球チームのものなら、○○ってチームが好きなんだな、とか。住んでいる場所を聞いてみたりとか。昔の日本の刑事ドラマであった「お前のお母ちゃんが泣いてるぞ」っていうのと同じですね。母親ってだれにでもいますから。あとは「カツ丼食わせてやる」だって誰にでもある人間の欲求に対してどうするか、ってことですよね。

— なんだか女の子を口説くのとも似ていますね。

鳩山 天気の話を聞いたりとか、女の子に対してだけじゃなく、身近な人との世間話としてもしますよね。天気も共通項なので。

どこからでも学べることはある

— その技術って仕事にも応用できそうですよね。

鳩山 僕も昔は会議の始めに世間話とかされると「いいから本題はいろうよ」って思っていた時期があったんですけど、そういう共通項を探す作業だってことを知っていると、その世間話が必ずしも無駄なことだと思わなくなりました。

— そういうものって、社会人経験のなかでちょっとずつ学んでいくことだと思うんですが、理屈を立てて学べる機会があるというのはすごいことですね。

鳩山 もしかしたら国内にもそういったプログラムがあるかもしれませんが、そういった本を読んだりとか、あるいは小説や映画やマンガでもシミュレーションできると思うんです。それはハーバードビジネススクールで学んだことでもありますけど、ケーススタディって身近なことでいくらでもできるんです。恋愛映画を見たら恋愛の疑似体験ができるし、ホームドラマなら家庭が学べるし、悲劇やコメディにだって学べるところがある。それこそビジネス書でだって、僕もこういうところあるなって感じながら読むことはできます。全部「知」として集積していけるんです。

— 鳩山さんて、ご自身の人生やキャリアに必要なことを意識的に学ばれていますね。

鳩山 根源的には成長に対する意欲が高いんだと思うんです。もっというと、常に自分に何か足りてないって思いが強い。だから何かしていないと気がすまないんです。教育を完全に信じているんです。学んだことはすべて無駄がなくて、必ず得る部分があるって信じています。だからそれをすることにあまり躊躇がないんですね。

— 普通の人は、だいたい年齢とともにいろいろなことを諦めていくんですよね。鳩山さんにはあまりそれがない感じがします。欧米と国内での違いについていろいろお聞きしましたが、常に反省がありましたよね。

鳩山 たとえば、昔はマネジメントみたいなことに全く関心がなかったんですよ。自分がどうするかしか考えてなかった。だから今考えているようなことって、当時の自分には絶対に考えられない。今まで学んで来たことがあるから、今の自分がある。そういう自信はありますね。

毎年履歴書を書き続ける理由

— 毎年年末に履歴書を書かれているっていう話を今回の本にも書かれていましたが、それは今でも続けているんですか?

鳩山 ええ、もちろん。履歴書を毎年書いていると、次に書き換えられるものはなんだろうって考えるんですね。新しいことをやっていないと履歴書って変わらないんですよ。

— そうですね。去年のコピペになってしまう。

鳩山 だから、書き換えるためにはその年なにかするってことなんです。だから、去年から変わってないとか、書いてもしっくりこないとか、この部分は伸びていないとか、仕事と自分を見つめなおすいい機会になるんです。

— 伸びていないと感じたら、その分野の本を読んだり、ケネディスクールみたいなところに通ったりするわけですね。

鳩山 ただ、これは履歴書だからいいんですが、こうやって本を出したりするようになって、プロフィール欄にも似たようなことを書きますよね。

— プロフィールは必須ですね。

鳩山 今回の本でも編集さんに言ったんですが、「営業利益を○倍にし」とか「株価が○倍になり」とか、そういうのを入れるのはやめようと。それって僕にとっては過去のことなので、それをずっと書いてること自体おかしいんじゃないかと思ったんですね。

— なるほど。編集者としては入れたくなる気持ちはわかりますが……(笑)。

鳩山 会社としても自分としても、その次にどうしていくの?ということなんです。結局イノベーションを起こしていくこととか、新しい物を作っていく方が自分にとっては大切なんでしょうね。

— いやあ、勉強になります。鳩山さんがこの先どのようにプロフィールを更新していくのか楽しみです。本日はありがとうございました。

鳩山 ありがとうございました!

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世界の壁は高くない

鳩山 玲人
廣済堂出版
2015-11-26

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キティちゃんを世界へ、鳩山玲人インタビュー

鳩山玲人

鳩山玲人さん、三菱商事でコンテンツビジネスに携わり、ハーバードビジネススクールでMBAを取得、2008年からサンリオに入社し、ハローキティを世界的人気キャラクターに育てあげました。そんな鳩山さん著書『世界の壁は高くない』(廣済堂出版)...もっと読む

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