幸せになる勇気

哲人は示す。「哲学とは、永遠に歩き続けることである」

哲学と宗教の最大の相違は「神」ではなく、「物語」の有無だとする哲人。さらに「暗闇に伸びる長い竿」の比喩が示す、両者の生きる態度の違いとはなんなのでしょうか。100万部を突破したベストセラー『嫌われる勇気』の待望の続編『幸せになる勇気』を、発売に先駆けて、特別掲載いたします。

哲学は「物語」を退ける

哲人 宗教も哲学も、そして科学も、出発点は同じです。わたしたちはどこからきたのか。わたしたちはどこにいるのか。そしてわたしたちはどう生きればいいのか。これらの問いから出発したものが、宗教であり、哲学であり、科学です。古代ギリシアにおいては哲学と科学の区分はなく、科学(science)の語源であるラテン語の「scientia」は、単に「知識」という意味でしかありません。

青年 まあ、当時の科学なんてそんなものでしょう。でも問題は、哲学と宗教です。いったい、哲学と宗教はなにが違うのです?

哲人 その前に、両者の共通点を明らかにしておいたほうがいいでしょう。客観的な事実認定にとどまる科学と違って、哲学や宗教では、人間にとっての「真」「善」「美」まで取り扱う。ここは非常に大きなポイントです。

青年 わかります。人間の「心」にまで踏み込んでいくのが哲学であり、宗教である、と。それで両者の相違点、境界線はどこにあるのです? やはり「神がいるのか、いないのか」という、その一点ですか?

哲人 いえ。最大の相違点は「物語」の有無でしょう。宗教は物語によって世界を説明する。言うなれば神は、世界を説明する大きな物語の主人公です。それに対して哲学は、物語を退ける。主人公のいない、抽象の概念によって世界を説明しようとする。

青年 ……哲学は物語を退ける?

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--- - "岸見 一郎" - "古賀 史健"
ダイヤモンド社
2016-02-26

この連載について

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コメント

nazenazeboy "哲学は学問というより、生きる「態度」なのです。おそらく宗教は、神の名の下に「すべて」を語るでしょう。全知全能の神と、その神から託された教えを語るでしょう。これは哲学と、本質的に相容れない考え方です。" 2年弱前 replyretweetfavorite

hamakihito 宗教とは、思考停止のことである 2年弱前 replyretweetfavorite

taiki411 答えがあるというのは、ある意味「思考停止」であるわけか。どこでやめるかを自分で選んでるんだ。 >>> 2年弱前 replyretweetfavorite

suzuki1313 嫌われる勇気の続編が気になる。 2年弱前 replyretweetfavorite