仕事に「やりがい」を求めるな
「もっとやりがいの感じられる仕事がしたい」
「やりがいのある仕事に就けるなら、多少給料が安くてもかまわない」
「きっと自分らしさを発揮できる“天職”があるはずだ」
自分自身が輝ける仕事、自分のポテンシャルを発揮できる「天職」……。仕事探しにおいて、そんな「夢」を追い求める若者は多い。
たしかに、せっかく働くのならやりがいのある仕事のほうがいい。充実した毎日が待っているだろうし、成長も早いだろう。自分自身が輝けるとか、自分らしさを発揮するという話も、実現できるならそれに越したことはない。
では、質問だ。
いったい、あなたにとっての「やりがい」とはなんなのだろうか?
自分自身が輝くとは、そして自分らしさを発揮できる天職とは、具体的にどういうものを指しているのだろうか?
……きっと多くの人が言葉に詰まるのではないか。
当たり前である。「夢」や「やりがい」なんて、しょせんぼんやりとした感情レベルの言葉でしかないからだ。数値化することもできないし、具体的な条件を挙げることもできない。むしろ、具体的でないからこそ、「夢」だの「やりがい」だのといったぼんやりした言葉を使っているのである。
じゃあ、そんなに漠然とした「やりがい」のある仕事を、どこで見つけるのか? また、どうやってその仕事に就くのか? いまの自分にはなにが足りなくて、どんな努力が必要なのか?
これもはっきりしない。地図もコンパスもなければ、目的地すらわからない。そんな旅がうまくいくはずもないだろう。
仕事にやりがいを求めるのはいい。でっかい夢を抱くのも大いに結構だ。出発点は感情でもかまわないし、むしろ感情を大事にすべきだ。
しかし、感情レベルで物事にあたっているかぎり、いつまでたっても前に進めない。漠然とした夢を具体的な「目標」に変え、その目標達成に向けた「戦略」を考えられる人間だけがゴールにたどり着くのである。
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