ホモフォビアの吹き荒れる中世ヨーロッパ 青髭ジル・ド・レ【前篇】

イスラームとは対照的に中世のヨーロッパはホモフォビアの吹き荒れる非寛容な世界だった!?その原因はどこにあるのか?そしてジャンヌ・ダルクの片腕にして、百年戦争の英雄ジル・ド・レが破滅した理由とは?
劉邦の宦官』や『九度山秘録』で話題の、新進気鋭の歴史小説家・黒澤はゆまが、歴史のなかの美少年を追って世界中を飛び回る人気コラム!

ホモフォビアの吹き荒れる中世ヨーロッパ

前回の舞台イスラームで、詩人たちが酒姫(サーキー)の美少年を口説き、戦士同士で愛をかわしあっていたころ、ライバル中世ヨーロッパでは、同性愛嫌悪、ホモフォビアの嵐が吹き荒れていました。

古代と中世のちょうど境にあたる、東ローマ帝国のユスティニアヌス一世の時代には、はやくも男色行為を禁じる法律が制定されています。皇帝は男色行為を飢饉、地震、疫病をもたらすものとして、死刑の厳罰を科しました。

このころ、男色を行った人は、性器を切断されたり、「身体のなかでもっとも敏感な穴」に先の鋭く尖った葦の茎を突きさされたりしたそうです。

また、同時期の650年ごろ、西ヨーロッパでも、スペインの西ゴート王国の君主が、男同士の性行為に去勢刑を科す法律を制定しています。

中世のとば口に、欧州大陸の東端と西端で布告されたこれらの法律は、その後の同性愛者たちの運命を象徴するものになりました。彼らが受けた仕打ちを列挙すると、以下のようになります。

・肛門に焼け火箸を何度も突っ込まれて殺害される

・八つ裂きにされて肉片は犬に食われる

・恋人同士一緒に木に縛り付けられ火あぶりにされる

などなど。中世ヨーロッパを通じて、程度に山谷はあるものの、一貫して世相は同性愛に対して過酷でした。

しかし、欧州人の始祖たる民族、ケルトやゲルマンの風俗を調べると、ホモフォビアが決して彼らの生まれつきのものではなかったということが分かります。

ヨーロッパ人の先祖だったケルト・ゲルマンは男色好きの民族だった!?
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コメント

tiger_balm888 このコラム、古今東西の男性同性愛にまつわる話が面白い。ゴリラやキリンの同性愛事情話まであったりして楽しい(≧∇≦) 今回はジル・ド・レという青髭のモデルになった人の話 キリスト教もイエスの意図したことが歪められて闇が深いな https://t.co/GRPJEDiKxp 4年以上前 replyretweetfavorite

ingapyong メモメモ_φ(・_・ 4年以上前 replyretweetfavorite

aquamensis ケルトについてはあしべゆうほさんの『クリスタルドラゴン』など……。 4年以上前 replyretweetfavorite

slither_link |黒澤はゆま @hayumakurosawa キリスト教のLGBTへの弾圧の理由がよくわかる。アメリカも州によっては酷いからな〜 https://t.co/hdLqipQMMq 4年以上前 replyretweetfavorite