日本銀行は結局のところ、何を守りたいのか──。国債暴落だけは避けたいのか、肌の合わない新総裁を据えられたくないのか、はたまた日銀法改正を防ぎたいのか。最近の日銀の言動からは、それらの優先順位が見えてこない。
連載第4回「失策を繰り返した歴史 日銀の金融政策・徹底検証」でも触れたように、“棚ぼた”で独立性を得たためか、何としてもそれを維持したいというハングリー精神も日銀には見られない。むしろ「先進国の中央銀行に独立性が与えられるのは当然」という姿勢すらのぞかせる。
第2次世界大戦中、政府の戦費調達の目的で国債買い支えを余儀なくされていたFRBは戦後、「政府と闘った末、当時のマッケーブ議長の首と引き換えに独立性を獲得した」(加藤出・東短リサーチ取締役)。その後、1979年に就任したボルカー議長がスタグフレーションからの脱却に成功するなど、いわば実力で信頼を勝ち取ってきた歴史がある。
政府との激しい攻防が現代には適さないとしても、「物価安定」の実績、あるいは結果に対する説明責任を広く地道に追求していくことこそ、日銀が真の政策のフリーハンド獲得のために必要なことではないか。有識者たちからの提言は、それを示唆している。
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