第6回】世界の中央銀行が注視する 超金融緩和策の“出口”とは?—加藤 出(東短リサーチ取締役)

今は大量の金融資産を買い入れて超金融緩和策を実施している世界の中央銀行だが、将来景気が過熱すれば、適切なタイミングで資産を売却する必要がある。その“出口政策”は困難を極める。

 金融危機の発生以降、先進国の多くの中央銀行は異例の超金融緩和策の世界に入り込んだ。「比喩的に言うと、災害が起きた場合、救助活動は救助に行くだけではなく、その場所から無事に帰還するというプロセス全体を指す」。日本銀行の白川方明総裁は2012年末の時事通信のインタビューで、超緩和策の是非は、出口政策(正常化策)を適切に行えるか否かという点も含めて判断しなければならないとの認識を示した。将来大きな副作用を招いてしまうのであれば、その政策は選択すべきではないという考え方である。

 一方、バーナンキ議長率いるFRBは、これまでそういったリスクは考慮せず、大胆な緩和策を果敢に実行してきたように見える。しかし、最近は、副作用を心配する声が内部で強まり始めている。12年12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事要旨には、“QE3(量的緩和第3弾)”による資産拡大を懸念する意見が何度も記述されていた。

 ダラス連邦準備銀行のフィッシャー総裁は12年12月に、「我々は“ホテルカリフォルニア”的金融政策のリスクに瀕している」と述べた。「一度入ったら誰も出ることはできない」というイーグルスのヒット曲にかけて、「我々はバランスシートを膨張させ続けているため、この状況から抜け出せないかもしれない」と懸念を表している。BIS(国際決済銀行)金融経済局次長のF・ターナー氏も、12年10月の東京講演で、FRBを含む先進国の超緩和策を論評し、「我々は魔神を壺に戻すことができるか?」と警告していた。

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