宇宙空間に突如現るブラックホール。あらゆる物質や光を吸い込む恐ろしいモンスターみたいですよね? でも実は、宇宙では案外「フツウの存在」なのだとか。名古屋大学の松岡良樹さんにお話を伺いました。
「まず天文学の大目標の1つは、過去から現在、未来に存在する、あるいはするであろうすべての天体の正体を明らかにすることです。地球から近い天体の姿は詳細に分かってきましたが、遠い天体は小さく暗くし か見えず、最新の望遠鏡を覗いても観測は困難。新しい観測技法が出現する度に、天文学者は一歩ずつ遠くへ 宇宙を開拓してきました」
まず宇宙からの光が地球に届くまでには時間がかかるのは、みなさんも知ってますよね? 1光年先の星であれば、その光が地球に届くまで1年。100光年なら100年。1億光年なら1億年。私たちが「今」地球から見ている天体は、常に「過去」の姿なのです。
ブラックホールは見えないので、実際は「クエーサー」と呼ばれる天体現象を目印に。吸い込まれるときに物質が放つ光を捉えることで、そこにブラックホールがあることが確認できます
「つまり『最も遠い宇宙』を観測するということは、『最も過去の宇宙』の姿を解き明かすということです」
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