雨月メッツェンバウム次郎
想像力の鍛え方 〜医者であることを隠して医院を受診した話〜
医者と患者は、教師と生徒と同じくらい絶対的な上下関係があります。この上下関係はめったに崩れることはありませんが、医者が病気になることで、医者は患者と同じ立場を経験することができます。反対側から見る医者はどうだったのか? 雨月氏が実体験を元に考察します。
こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
今回は「想像力の鍛え方」なんてタイトルでお話をいたしましょう。ビジネスでも恋愛でも想像力が大切、とはよく言われる言説ですが、これをいかに鍛えるか、blush upするかというところまではあまり耳にしないように思います。
さて、ようやく春になろうかという陽気の昨今ですが、私はなんと病に倒れてしまいました。
病理室にて、どんどん具合が悪くなる
ある平日の午後1時、院内の食堂でレトルトのいつものカレーを食べたあと私は自分の体の変調に気がつきました。午前の手術で取れた検体(大腸がんでした)を後輩医師と病理室でさばきながら30分ほど様子を見ていましたが、どんどん全身が倦怠感(けんたいかん;だるさのことです)に包まれていきます。
「なんかおかしい、先生、俺ちょっと休んでくるよ」「先生大丈夫ですか」「ああ、先生悪いけどあとよろしく」医者の会話は文字にすると先生だらけで意味不明です。
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この連載について
雨月メッツェンバウム次郎
高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む
著者プロフィール
雨月 メッツェンバウム次郎。アラサーの現役外科医。既婚。某国立大学医学部卒業後、外科医として働く。ほぼ毎日手術があり、年間200件近く参加する傍ら、年に1, 2回は海外学会へ、年に7回は国内の学会へ自腹で行く。 ツイッターでも呟いています。twitter @ugetsujiro noteでも書いてます。「cakes連載記事、あそこには書けないウラ話」https://note.com/drdolittle/m/m15f589680155