リナとマイ 後編 —久しぶりのパパとの食事。

「親の離婚って、どう思う?」——この連載は、親が離婚した経験をもつ子供たちへのインタビュー取材をもとに、現代のさまざまな家族のカタチを描いていきます。第4話は、高3と中3の姉妹の場合。離婚後、母子3人で暮らしていたある日、母親が突然置き手紙を残して出て行ってしまって……。前編中編につづいてお読みください。

ママが家出して6日目。リナとマイのLINE宛に、思いがけない人からの連絡が届く。

“お前たち、変わりないか?”

何も知らないパパからのお気楽なメッセージに、2人はつい失笑する。そんなに不自由な暮らしを強いられているわけでもないけれど、変わりないかと言われればさすがに嘘になる。現実問題、ママの残していったお金もそろそろ底を尽き始めていたし、あえて隠す理由もないので、リナはパパに事情を打ち明けた。

“それがさあ、ママが家出したんだよね”

既読のサインがついた直後にパパからの着信。その夜急遽、普段はなかなか捕まらないパパと、食事を共にすることとなった。

* * *

駅近くの雑居ビルに店を構える老舗のイタリアンレストラン。昔から家族でよく来ていたこの店のカルボナーラが食べたいと、パパにリクエストしたのはマイだった。

「お前たち、なんで俺にすぐ連絡しないんだよ」
リナとマイを見るなり、パパは呆れたように笑って言う。

数ヶ月ぶりに会うパパは、黒いジャケットに白いシャツ、麻のパンツ、それにハットという装い。身長も高く、お腹も出ているわけじゃない。50代にしてはお洒落なパパは、リナとマイの友人たちからの評判も上々だ。

「いや、まーなんとかなるかなーと思ってさ」
リナが答えると、マイも続く。
「それにパパ、いつも出張でいないじゃん」
パパは、申し訳なさそうに頭を掻く。

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りこんのこども

紫原明子

いまや「よくある話」になっている離婚問題。大人の事情で語られることは多いけれど、親の離婚を体験した子供たちは、何を考えているのでしょうか。自身も離婚を経て二人の子供を育てているエッセイストの紫原(家入)明子さんが、子供たちの思いや現代...もっと読む

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コメント

Kisax_w 泣きそうです 4年弱前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe 米国で身近にこういう例がけっこうある。父親が自分より他人を選んでいる子どもの心の傷は深くて、後遺症はずっと消えない。このお父さん、そこをわかってほしいな。 4年弱前 replyretweetfavorite

foolsai 中編までは彼氏もいるような一丁前だったら、もっとお母さんの気持ち考えてあげてよって思った。親も子も分かってるけど、苦しいよね。 4年弱前 replyretweetfavorite

consaba 「認めたくないけど、大人のパパやママにも、リナやマイと同じ、弱さがある。 」 4年弱前 replyretweetfavorite