転職は「リセット」にはならない!
そもそも人は、どんなときに転職を考えるのだろうか。
キャリアアップを意識したとき?
自分のやりたいことを見つけたとき?
違う。
人が転職を考える直接の原因は、「いまの仕事がイヤになったとき」に尽きる。
上司や同僚との人間関係、仕事内容や社風への違和感、また待遇面まで、個別の理由はいろいろあるだろう。しかし、理由はどうあれ、「こんな会社、辞めてやる!」と思ったからこそ、転職を考え始めるのだ。
キャリアアップだの、自己実現だのといったポジティブな言葉は「後づけの理由」でしかない。転職の引き金はいつも、「こんな会社、辞めてやる!」というネガティブな「逃避願望」なのである。
そしてこの逃避願望は、安易な「リセット願望」へとつながっていく。
こんな会社なんか辞めて、イチからやり直したい。まったく新しい場所で、まったく新しい人生を再スタートさせたい。働く場所が変われば、新しい自分、夢のような人生が待っているはずだ。
……こうやって、あたかもテレビゲームのリセットボタンを押すように転職を選ぼうとするわけだ。
しかし、転職によって人生がリセットされ、すべての悩みが解決されることなど絶対にない。
転職とは人生のリセットではなく、人生の「チューニング」なのである。
たとえば、あなたが現在勤めている会社について、「待遇が横並びで、がんばりが正当に評価されない」との悩みを抱えていたとしよう。このとき、成果主義が貫かれた外資系企業に転職したらすべての悩みは解決され、バラ色の人生が待っているのだろうか?
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