突然の告知で失礼します。このたび、こんなタイトルの本を書きました。
「同性愛は『病気』なの?~僕たちを振り分けた世界の『同性愛診断法』クロニクル~」(星海社新書)
この本では、人類がひねりだしてきた26の同性愛診断法(と呼ばれたもの)と、そういう社会状況下にあった人々のそれぞれの人生のドラマをとりあげています。今日は、その本でも触れている物語を、cakesの読者さん向けに書き下ろしてご紹介しますね。
「ウチの子は同性愛者なんでしょうか? 治療法はないんでしょうか!?」
そう言って医師にすがりつく人がいるのは、昔から変わらないことのようです。
2015年10月。中国の社会活動家であるジョン・シェン氏が、中国国内で親から子に“同性愛治療”と称して強いられる電気ショック療法の実態を告発しました(関連記事)。
また、世界各国では、「同性愛を“矯正”する」という口実で行われる性暴力も問題になっており、中には加害者が被害者の家族であったというケースも少なくありません(関連記事)。
そんな21世紀の今日このごろですが、実はすでに80年も前、息子の同性愛を治したいという母親に「同性愛は病気ではない」と断言した精神科医がいたんです。
それは……
(※引用元:Wikimedia Commons)
ジークムント・フロイト。“精神分析の父”とも呼ばれる、歴史に残る精神科医です。
今回は、1935年の春、フロイトが「息子の同性への恋愛感情を治したい」という女性に宛てた手紙を日本語訳で見てみたいと思います。