すべての女性はAV女優になれるが、ほとんどの男性はAV男優になれない
しょぼいAV男優が性交するしょぼいAVを観るとき、すべての男は男優のしょぼいふるまいに興が醒め「俺のほうがうまい」とつぶやく。童貞でさえ、そうつぶやく。そしてAV男優になった自分を夢想する。だが多くの男はAV男優にならない。自分が衆人とカメラの前では勃起しないことを知っているのだ。
多くの女性は「AV女優になれるよ」と言われると否定する。だが、もしもカメラの前でセックスを「どうしても、しなければならない」という状況になったら、すべての女性がカメラの前で確実にセックスすることができる。
以上をとても雑にまとめて、なにか内容ありげというか意味がありげな箴言とするなら、
すべての男はAV男優になりたがるが、ほとんどの男はAV男優にならない。
ほとんどの女はAV女優になりたがらないが、すべての女はAV女優になれる。
ということになる。
「カメラで撮影されながら」という状況とともに「ギャラをもらって」という大きな問題もまた彼ら男性の勃起の前に立ちふさがるだろう。
男はけちである。女性がけちなのとはまた別の意味でけちであって、普段あまり勃起しない男が風俗店だと勃起するということがある。風俗店の女性が美貌であったから初対面であったから勃起する場合もあるだろうが「お金を払ったんだから勃起しないでは損」というけちな意識が働いて勃起することもあるのである。
ところがこれが「お金をもらったんだから」という意識の場合どうだろう。勃起はプレッシャーに弱い。お金をもらっている以上勃起しないと怒られかねないという恐怖が頭をもたげれば亀頭は頭をもたげなくなる。金額が高くなればなるほど恐怖はつのる。(一方、女性の場合はギャラが高額になればなるほど彼女の内面も女優らしくなっていくように思われる)
ハプニング・バーといった場で衆目の中でこそ興奮して勃起するという性癖を持った素人男性が、撮影ではからきし不能であった例もあった。ハプニング・バーでの勃起は無給であり責任がないからだ、と彼は後に語った。
AV男優になれるなれないを左右する勃起力は、通常のセックスにおける勃起力とは少し違う精神的な勃起力である。それはある種の「ずうずうしさ」のようなものであろう。
一流のAV男優は忍者である
もちろんAV男優を続けていくには、ずうずうしさだけではなく肉体的勃起力やスタミナ、そして性交の技倆が必要である。
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