私達の住んでいた村は、ブルゴーニュの主要都市ディジョンから
南に35kmの距離にあります。
シトー派の修道院のあるサン・ニコラ・レ・シトーという村で、
人口約400人程度のところです。
前回書いたとおり、私はフランスで仕事をはじめてすぐ、車にひかれる事故に遭ってしまいました。
しかし、そこはフランス……というか、なんと車にひかれてから救急車の到着まで45分、
そこから病院まで30分強……と、日本では考えられないほどの時間がかかって、
まわりの人に本当に心配をかけてしまいました。
フランスの場合は、合理主義とでも言うのでしょうか、
事故を起こした人がお見舞いに来るよりもはやく、保険会社の査定係の人が病室に来ました。
これには、フランスに少しは慣れてきていたとはいえ、驚かされました……。
包帯ぐるぐる巻きの私を見て、「ボンジュール ムシュー」。
そして「今回の事故で、壊れたり使いものにならなくなったものはありますか?」と事務的にたずねられ……。
その人にとっては仕事だとはいえ、正直にいって、言葉が何も出てきませんでした。
でも、そんなことは序の口、もっと驚いた事があります。
その後、事故を起こした人が病院にお見舞いに来たのですが、なんと、その人が帰られた後に、同じ病室の人にこういわれたのです。
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