審議会の結論は、座長や官僚からの
働きかけで方向性がだいぶ決まる
加藤貞顕(以下、加藤) そこで、結論が出なかったらどうするんですか?
津田大介(以下、津田) 1年やって、結論が出なかったものは、2年やったりしますよ。私的録音録画承認委員会は、期間が伸びて結局3年もやりました。
加藤 長いですね。民間の会議だったらリーダーがいていろんな議論はするけど、最後誰かが「はい、これで決定!」って、すぐに決めるじゃないですか。そんな風に、意見がわかれた場合は、どうやって結論を作るんですか?
津田 座長がいるので、基本的には官僚と座長で決めていくんです。
加藤 私的録音録画承認委員会みたいに対立する人々が集まっていると、意見が割れますよね。それは座長が勝手に決めちゃうっていうこと?
津田 『会議の政治学』っていう本があるんですが、それに書かれているのが本当にすごく面白くて。基本的には、調整をするんです。官僚がその委員同士に「この日に来てください」って言うと、最初のころほとんど「はいわかりました」って言ってみんな集まるんだけど、どんどんもめてくると、「この日に日程が決まりました」って言うと、必ず官僚が弁解にくる。レクっていう風に言うんだけど、「次の会議はこういう風に進めたいと思います。もちろん津田先生はこういう意見をお持ちでしょうが」みたいな説得にくるんですよ。
加藤 すごいですね。
津田 完全に根回しの世界ですよ。
加藤 それで、なんとかまとめる方向に持って行くんですね。
津田 やっぱり、あとはなんだかんだで座長になる人は人格者が多いんですよ。委員からも尊敬されてる人が多いので、最終的には座長が「俺の顔を立てて、これでお願い」みたいなことになる。
加藤 本当にそういうことがあるんですね!
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