このところ、「LGBT成人式」といわれるものが広がっています。
「女は振袖、男は袴かスーツ」な成人式に疑問や息苦しさを感じる人々が、「成りたい人に成る=成人!」ということで祝い合う、ドレスコードなしの自由な成人式です。2012年、NPO法人ReBitが始めたことから広まったものだと記憶しています。
でも、思うのよね。
逆にいったいいつまで「LGBT成人式」として区別された場が必要とされちゃうのかしら、って。
ということで今回ご紹介するのは、ある理由から「成人式に出られなかった」という大学生の方からのご投稿です。
私は20代前半の性自認不明、パンセクシャル※の大学生です。社会的には、一応女性として生きていますが、スカートを履くことに抵抗があります。
(※牧村注……性自認とは「自分の性別をなんだと思うか」。パンセクシャルとは、恋愛対象を性別で決めない、男性とも女性ともどちらでもない人とも恋愛の可能性があるという性的指向。日本語で「全性愛者」「汎性愛者」とも)
数年前になりますが、成人式の時、私はどの服を着ればいいのか分からず、欠席しました。就職活動では極力服装自由の会社を受け、内定をいただきました。困っているのは、社会に出たとき、避けられない公の場、冠婚葬祭などでの服装です。近いところでは大学の卒業式があり、服装のことで悩んで成人式にも行けなかった自分が何を着ればいいのか、と考えると憂鬱になります。
(一部編集のうえで掲載させていただきました)
なるほど、ご投稿ありがとうございます。
確かに、この2016年、未だに「女性のパンツスーツはNG」とか言い出す就活セミナーがあるらしいですよね。そういう世の中で自分を押し殺さずに生き抜くためにも、性別と服装のこと、経験を通して考えていきたいと思います。
私も、成人式に行きませんでした。
なぜなら、行きたくなかったからです。
成人式に出るためには、地元に戻らないといけませんよね。地元で過ごした小中学校時代に、私はイヤな記憶しかないんです。同性愛ネタでウケをとる教師。「こいつレズなんだよ!」と笑いものにされていた先輩。そして、そういう声に囲まれながらも反論できず、セーラー服に自分を隠して“ふつう”のフリをしてきた毎日……。
ほんと吐きそうだったので、私も服装自由の高校に進みました。ご投稿者の方と似ていますね。やがて20歳になった時には、もう実家を出ていたので、「何十万払って着飾って市民ホールに行くよりはバイトして何千円か稼いだ方がマシ」って成人式の日にはバイトしてました。家族に連絡も入れませんでした。
でも、いま、思うんです。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。