大都市で起きていることがその国を象徴する現象ではない

日々、めまぐるしく変わっていく世界のビジネス事情。ついこないだまで圧倒的な売上をみせていたマクドナルドやユニクロが、2015年は苦境に立たされていることがニュースになりました。すさまじいスピードで進む世界の波を体感するためにはどうすればいいのでしょうか?


世界の壁は高くない—海外で成功するための教科書(廣済堂出版)

〈トレンド感覚の壁〉

世界の波を体感すると、先手を打てる

 グローバルで起こっていることは、日々インターネット、テレビ、新聞、雑誌で追いかけることができます。特に世界中の株式市場や為替の情報は、多くのところで目にするグローバル情報の典型です。
 また、GDP(国内総生産)や経済成長率、人口推移といったマクロの数字も、とても大切な指数だと思います。
 しかし、世界で起こっていることを「肌で体感する」と、次に起こることをもっと理解でき、リアクションをとりやすくなります。

 たとえば、アパレル業界ではファストファッション中心に価格破壊が起こっていますが、最近、欧州では若者の間で、ファストファッションがラグジュアリーブランドのように位置づけされているという発言を聞くようになりました。以前はファストファッションは、GUCCI、PRADA、DIORといったパリコレの流れを敏感に察知し、それを低価格帯で提供することで伸びてきました。
 一方、今の若い世代は、それを見てきたので、ZARAそのものが、ラグジュアリーブランドと同じに思えてくるのです。
 日本で「ユニクロが安くなくなってきたのでは?」という議論が出てくる現象と似ています。

 また、イギリスではH&Mが、ZARAやGAPより一段低い価格帯でやっていますが、それよりさらに低い価格帯のUKのPRIMARK社がシェアを伸ばして急進しています。もはや、ZARAの価格帯がすごく高く見えてしまうのです。
 最大の特徴は、ファッション性の高さです。ただ、品質はよくありません。
 しかし、今の若い世代はそれを好むようです。あまりに安いので、一回着ただけで、あるいはちょっと劣化したらすぐに捨てたりします。服を大事に着るという世代ではないのでしょう。価値観がすっかり変わっているのです。

 また、たとえば、中国では、外資規制のため、中国産以外の映画はほとんど上映されません。結果として、ディズニー、ワーナーといった米国の映画の上映が限定されているため、世界でヒットしているキャラクターも中国では苦戦しています。映画でもヒットしている作品が違います。
 たとえば、二〇一五年の夏は中国で「MONSTER HUNT」や、「THE MONKEY KING」という作品が大ヒットしましたが、日本や欧米でその作品のことを知っている人はあまりいません。また、DVDの発売もないため、日米で騒がれているNetflix以上に、劇場公開後のネット流通戦略が重要視されます。また、トレンドの移り変わりも激しく、旬が短いので、ビジネスの回収モデル(劇場公開とオンラインによる配信収入)が映画公開から2〜3カ月と短くなっています。
 中国独自のプレーヤーが、映画に限らず、たとえば、インターネット業界においても、Eコマースのアリババ(阿里巴巴)、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のテンセント(騰訊控股)、検索エンジンのBaidu(百度)、スマートフォンのXiaomi等、独自に形成されている現象も同じといえるでしょう。
 また製造面では、ディズニーが、いち早くチャイルドレイバー(児童労働)問題に対応するべく、子どもに過酷な労働を強いている工場が多いといわれているバングラデシュでの製造をやめることを決定し、実行に移しています。
 一方、同じバングラデシュであっても、一二〜一六歳に適正な労働環境を与えないと、特に女性の場合には、もっと危険な状況の職場にさらされることになってしまうため、適切な研修制度を設けたりすることで、製造管理をきちんと整えた製造工場も増え、管理ができるように変化しつつもあります。
 あるいは、バングラデシュよりもエチオピアのほうが、労働賃金が三分の一でありながらも、労働意欲が高いということで、製造現場がアフリカへシフトしてきているのを身近で感じています。
 最近、シンガポールでは、三菱商事も出資したオラム社が、食品流通でどこで誰が何をどうやって製造しているのかということを原材料レベルで追う、いわゆるフットプリントを厳格化すべく、食品の流通を変えているという話を聞いて感銘を受けました。
 これは、米国を中心にした小売りや消費者運動、フットプリント提示の法令化を意識し、先取りした、企業の動きになります。

 テクノロジーの変化にもめまぐるしいものがあります。
 インドでは冷蔵庫よりも携帯電話を先に買う消費者が多いというし、インターネットのサービスプレーヤーの変化はめまぐるしく、数年前にサンリオと契約したものの、その後いなくなった企業も何社もありますが、新しく台頭してきた企業も数多くあります。
 アフリカでは、ローカルのライセンシーであった石鹸会社が、欧米大手のP&Gやユニリーバのような会社に買収され、近代化が激しく進んでいくのを体感しています。

 それ以外にも、生活レベルでは、土地やホテルの値段が上がっていく様や、有名レストラン、ハンバーガーチェーンの国際展開、目抜き通りで何がディスプレイされているか等で、世界の動きを見ることができます。
 このように、世界で何が起きているのか、何が脅威になっているのか、何がイノベーションのキーになりそうかということに敏感でいると、グローバルの先手を打つことができるのです。

世界のスピードについていくには
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チャレンジする人の背中を押したい!

世界の壁は高くない

鳩山 玲人
廣済堂出版
2015-11-26

この連載について

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世界の壁は高くない—海外で成功するための教科書

鳩山玲人

サンリオで海外戦略を担当。会社の営業利益が入社5年目で約3倍となり、常務取締役となった鳩山玲人さん。2015年、ハローキティをハリウッドデビューさせるための、社内ベンチャーのCEOに就任し、米国経済誌により「今まででもっとも成功したハ...もっと読む

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コメント

hal_31 のんびり感はある。確かに。 3年弱前 replyretweetfavorite