ロボット研究と仏教は同じ!?—テクノロジーは人の幸せのために作られるvol.3

ロボットと仏教。アプローチの方法は違えど、対象は完全に同じだと考えるのはロボット工学者の前野隆司さん。サイエンス&テクノロジー論を基本とする前野さんの「受動意識仮説」と「幸福学」は、仏教の“不完全なロジック”をどのように読み取っているのでしょうか。そして、「人間が機械だったとしたら、プログラムのどの部分を触れれば幸せになれるのか。」海猫沢めろんさんが呈した疑問から、人間は自分の幸せについて意外と分かっていないという話になり……。

ロボットと仏教

— 石黒浩さんは仏教関係の方と交流があるそうなんですけど、前野さんはどう思いますか。ロボット研究と仏教ってどこか共通している部分があるんでしょうか。

前野 完全に同じだと思っています。対象は。アプローチのしかたは違いますけどね。僕の本を読んで、曹洞宗の人が「ふつうの僧侶より仏教のことがわかってる」って言ってましたよ。

— おもしろいですね(笑)。でもそれ、わかります。っていうのは、前野さんの「受動意識仮説」も「幸福学」も宗教の言ってることじゃないかなと思ってて。

前野 そうですね、近いですね。ブッダが言ってることとも近いし、キリストの言ってることとも近いですよ。

— 今の自己啓発のなかには現世利益かつ、自分のことしか考えてないものが多いなと感じます。自分の成功の話ばっかりで、パートナーや周りにいる人のことをケアするって視点がないんですよ。でも、社会で生きていくなら他者貢献が重要だと僕は思っています。ただ、じゃあ仏教がそうかというと、仏教も元をたどると社会性を捨てて悟るという話なのでそことはちがうような気がしますが……。

前野 仏教は他者貢献しない、と。

— そういう視点はないというか、そういうものを超えているというか……。ゴータマ・ブッダの思想というのは、業と輪廻が基本になっているんですが、『ローヒタッサ経』という教典に書いてあるそうなんですけど、彼は世界(ローカ)そのものが苦なので、世界を終わらせないといけないって言ってるんです。確かに、有名な出家のときの話も、子供に「煩悩(ラーフラ)」なんてDQNネームをつけて踏んで出て行くとか、けっこうヤバいですよね。

前野 確かに、仏教は社会性の話からは始まりません。しかし、たとえば、大乗仏教には慈悲の心があります。

— でもそれの発想って後付けっぽくないですか?

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“すこしふしぎ”な科学ルポ

海猫沢めろん

漫画家・藤子不二雄氏はかつて、SFを「すこし・ふしぎ」の略だと言いました。そして現在。臨機応変に受け答えするSiri、人間と互角以上の勝負を展開する将棋ソフト、歌うバーチャルアイドル初音ミク、若い女性にしか見えないヒューマノイド……世...もっと読む

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コメント

SUIGADOU 「石黒浩さんは仏教関係の方と交流があるそうなんですけど」めろん先生の第一声に笑った(´ω`) https://t.co/hSaROg7XzG 2年弱前 replyretweetfavorite

warakashi 僕は自分のやっている研究は世界平和研究に近いと⇒今まで脳科学などの科学の裏付け×⇒宗教として扱われていた? 4年以上前 replyretweetfavorite

jamesinput 理解も実感もできないけど心惹かれるのはダイブしちゃえばいいのかしら | 4年以上前 replyretweetfavorite