原田 自費出版の『旅するカンバセーションズ』については、価格設定もかなり迷いました。例えば、アマゾンで販売する場合、「e託」というサービスを使うことになるのですが、掛け率やアマゾンの倉庫への送料の負担などを考えると、通常の書店で売るよりも利益率がだいぶ落ちるんですね。通常の書店よりもアマゾンを重視するのであれば、やや価格を高めに設定をせざるを得ないんですが、気持ちとしては、なるべく価格を下げて少しでも多くの人に手にとってもらいやすい状態にしておきたい。また、カード決済サービスを用いたオンライン販売であれば、基本的には売上金のすべてが手元に残ります。だから、送料を無料にしても、アマゾンで販売するよりは利益になるんです。売り方が多様化している分、どの販売ルートを重視するかで価格設定が変わってくるということが難しくもあり、同時に面白いところでした。あと、これは出版社と自費出版から2冊の本を同時に出したからこ そできたことなんですが、オンライン販売では、2冊合わせて500円ほど割引になるセット売りをしていて、これがなかなか好評なんです。
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内沼 それは面白いですね。通常の書籍には再販制というものがあって、小売価格を変えてはいけないという取り決めが出版社と書店の間で交わされていて 、この仲介をしているのは取次会社です。だから、取次を使っていない自費出版本の場合、版元から定価を守ってほしいと言われないかぎり、書店側は価格を下げて売ってしまってもいいんです。つまり、セット販売にした時に、『旅するカンバセーションズ』の方を値引きしているということにできれば問題はない。たしかに、今回こうした形で2冊出したからこそできる面白い売り方ですね。
原田 再販制のことなどを調べている中で、「バーゲンブック」に関する情報も色々出てきたんですが、B&Bではバーゲンブックの面白い売り方をしているんですよね?