原田 第2部は、僕と、『欲望するインタビュー』の編集を担当して頂いたP-VINEの樋口聡さんのふたりで、内沼さんに「本を売ること」をテーマにインタビューしたいと思います。
樋口 よろしくお願いします。第1部のお話、とても面白く聞かせてもらいました。まさか印税を使って自費出版をするなんて、思いもしませんでした(笑)。はじめの頃、『旅するカンバセーションズ』もP-VINEから出そうという話もしたと思うんですが、それをあえて自費でやると仰っていて、この人は何だろうと(笑)。
(左)カンバセーションズ主宰の原田優輝さん。(右)書籍『欲望するインタビュー』の編集を担当したP-VINE・樋口聡さん。
原田 2冊同時刊行というのは話題性がありますが、ありがちとも言えるじゃないですか。それよりは、2冊の本をそれぞれ違う方法で出した方がやる意味があるかなと思ったんですよ。ただ、どちらにしろ言えることは、いまは本を売っていくのが難しい時代ということですよね。そういう時代だからこそかもしれませんが、出版社から取次会社を経由して流通に乗せていくという従来の方法を取らない小規模な出版社や自費出版、リトルプレスなどが多く見られるようになり、それをサポートする流通の仕組みや本屋さんなども増えているように感じています。そうした中で、いま本を売っていくというのはどういうことなのか、普段から出版業界と深く関わり、書店も営んでいる内沼さんの考えやアドバイスなどをお聞きできればと思います。
内沼 まず、いまの出版業界の状況をおおまかに言うと、大手を中心に電子書籍化が進み、売上の割合も高まってきています。その中で、このB&Bで紙の本を売っていて感じることは、出版社が普通につくった本よりも、取次を経由せず、直取引をしている小さな出版社や個人がつくった本が売れる傾向にあるということです。うちの場合は、わざわざここを目指して来てくださるお客さんが多いこともあってか、せっかくならアマゾンなどでは買えない本が欲しいという気持ちが働くんだと思います。
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