内沼 今日は、P-VINEから『欲望するインタビュー』、自費出版で『旅するカンバセーションズ』という2冊の書籍を刊行した編集者の原田優輝さんと僕の間で、お互いにインタビューをし合うという2部構成でお話を進めていきたいと思います。「本を作って売るって、結局どういうこと?」というのが全体のテーマとして設定されていますが、前半は僕がインタビュアーとなり、今回の本づくりのお話を中心にお話を聞いていければと思います。
原田 よろしくお願いします。
ブックコーディネーターの内沼晋太郎さん。
内沼 この2冊の書籍は、原田さんが運営しているインタビューサイト「カンバセーションズ」から生まれたものですが、まずは起ち上げに至るまでの原田さんの経歴を教えて下さい。
原田 僕は高校生の頃、「i-D」や「DAZED & CONFUSED」といったイギリスのカルチャー誌が好きで、「DAZED」の日本版が創刊された頃に、学生インターンとして編集部で働くようになりました。そこで約2年間ほど働いた後にしばらく海外を旅して、帰国してからはフリーランスとして編集やライターの仕事を少しずつするようになりました。2007年には、以前からの知人で、現在ANSWRというデザイン事務所の代表をしている針谷建二郎さんと一緒に、「PUBLIC-IMAGE.ORG」というWebマガジンを立ち上げ、更新が終了するまでの5年間、編集長を務めました。その間に、数々のクリエイターにインタビューをしてきたことが、「カンバセーションズ」を始めるきっかけにもなりました。
内沼 「PUBLIC-IMAGE.ORG」がちょうど終わる頃に、「カンバセーションズ」をつくるという話をしてましたよね?