退職金を贈与して、子供たちには喜ばれ、幸せな老後を送る……。
そんなもくろみが一転、爪に火をともすような生活を送る羽目になってしまった!
近年、さまざまな非課税による贈与の仕組みがそろった結果、今後、そうした「あげ過ぎ貧乏」ともいえる人たちが、退職世代に増えていきそうだ。
例えば、自分の家の近くに住んでいる長女に「将来、面倒を見てもらうのなら、その見返りに」という気持ちで贈与をしたものの、それを聞き付けた他の兄弟から「なぜ、あいつにばかりあげて、俺にはくれないんだ」と、贈与を迫られることは珍しくない。
息子や娘といった子供だけの問題なら、うやむやにして終わることもできるが、孫の名前を出されて不平等を訴えられると、心穏やかではいられない。そこで、同等の額を贈与して話を丸く収めてしまうのだ。となれば、当初予定していた贈与の額に対して、倍増するのだから、老後の生活設計に影響しないわけがない。