コレクション永久機関4 —永遠に本を買える人生

とみさわ昭仁さんのコレクターにまつわる集中連載も、今回が最終回。自分のコレクションに対する気持ちが「整理欲」だと気がついたとみさわさん。そんな整理欲派のとみさわさんが気がついた、「実際にモノを買い集めながらも、永遠にコレクションを続けられる方法」とはいったいなんでしょうか……?

コレクションに関する話も4回目を迎えた。ここで前回予告した通り、実際にモノを買い集めながらも永遠にコレクションを続けられる、驚きの方法を紹介しよう。

繰り返しになるが、コレクターというのは常に「資金難」に悩まされるものだ。欲しかった物をやっとの思いで手に入れても、しばらくするとまた欲しいものが出てくる。それを手に入れると、またさらに欲しいものが出てくる。欲しいものが次から次へとあらわれる。だからこそのコレクターだともいえる。ひとつ手に入れただけで満足してしまうのなら、それはコレクションとは言わない。「同じジャンルのものがふたつ並んだところからコレクションはスタートする」のだ。けれど、そうそうお金が続かない。収集対象が値の張るものだったらなおさらだ。

そしてもうひとつ、「収納スペース」という問題もコレクターを悩ませる。コレクションが増えるにつれ、集めたアイテムが居住空間を圧迫して収集活動に支障をきたす。それ以前に生活もままならなくなる。かといって、広いところに引っ越すにもお金がかかる。空間はタダじゃないのだ。先の東日本大震災のとき、多くの蔵書家たちの例に漏れず、我が家の本棚からも大量の本が崩れ落ちた。


不幸中の幸いというか、ワタシは蔵書家としては足軽レベルなのでそれほどの被害には遭わなかったが、本棚ごと倒れてシッチャカメッチャカになった知人も多い。

さて、モノを買わないエアコレクターは素晴らしい! これこそ純粋コレクターである! とかなんとか前回まで散々ブチ上げておきながら、その主張をいきなりひっくり返すことをいまから言う。

ワタシは数年前から珍本コレクターをやっている。珍本というのは一言では説明しにくいのだが、まあ「心霊手術」の本とか「飲尿療法」の本とか「人喰い人種」の本とか「デンマーク式養豚」の本とか、ようするにそういう奇書のこと。日本中の古書店を訪ね歩いて、そうした本を集めている。なんだかんだいってやっぱり“物質”も買っているのだ。ぜんぜん治ってねえ。ここは笑うところなので、フフンと嘲笑してやってください。

ともかく、そうやって集めた本が1000冊を超えたあたりから、家の中が明らかにおかしなことになってきた。

まず「部屋の中が一日中暗い」。一台でも多く本棚を置くために窓をツブさなきゃならないから、どうしたって部屋が暗くなってしまう。というか、本が日焼けするのを防ぐため、積極的に雨戸を閉めっぱなしにしているから、中が暗いだけでなく、外から見てもとても怪しいことになる。「とみさわさんチのお二階の部屋、何かしら。座敷牢かしら?」みたいな。

そして「寝室の襖が閉まらなくなる」。自分は2階の6畳間を蔵書置き場にしているんだけど、その真下に寝室がある。ここの鴨居が2階の本の重みで下がって、襖が閉まらなくなってきちゃうわけ。古い木造家屋はこれがあるから恐ろしい。地震で床が抜けて蔵書の下敷きになって死んだ、なんてニュースを見た覚えもある。自分がいつそうなるかわかったもんじゃない。

自分自身でも生活に不便を感じているところに、家族からの攻撃も襲いかかる。やれ「家を壊す気か」。やれ「読みもしないのに買うな」。あげくの果てには「いい加減にしないと廃品回収に出すぞ」。さあ、追いつめられました。ワタシは古本を抱えてどうすりゃいいのか。ここでまたあっさりと蔵書を売り飛ばしてしまうのか? それとも、いずれ訪れるであろう崩壊に目をつぶって集め続けるのか──。

考えた末に、ワタシは「両方できる!」と思った。

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