case 2 共有で先送りの罠
残されたのは不動産一つ
分割不可で負のスパイラル
自分たちが亡くなった後、子供らが良好な関係を保つことは全ての親に共通する願いだろう。だが、それは成り行きに任せるだけでは実現しないことが多い。兄弟姉妹らの不動産の相続トラブルを避けるためには、相続前の準備が必要なのだ。
東京都内のある事例を紹介したい。夫に先立たれてから10年間、東京都内で一人暮らしをしていた90代の女性が亡くなった。
夫が亡くなったときは夫婦間の相続だったため、控除額が大きく、相続税がかからなかった。そのため、ほっとしてしまい、相続税がかかる二次相続(配偶者に先立たれた親が亡くなった際の相続)への備えを怠っていた。
1人で暮らすには広過ぎたが、女性は、2人の息子を育てた思い出のわが家に住み続けた。その間の生活費のために預金は大幅に減り、遺産はほぼマイホームだけになっていた。女性は遺言書を作らず、「兄弟で仲良く支え合って」と、息子らに言い残すのみだった。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。