第10回】“争続”の代表選手「不動産」 原因を知り回避せよ(1)

相続税が増税され、相続財産の半分を占める土地の活用に注目が集まっている。不動産は“争続”の元凶にもなれば節税の要にもなるもろ刃の剣だ。トラブルの典型から円満相続のヒントを探る。

case 1 空室率の罠
土地への愛着にご用心!
賃貸経営の本当のリスク

 2015年3月、長野から富山、そして石川まで延伸開業した北陸新幹線。北陸経済の活性化への期待は大きいが、沿線では、危うい“相続対策”を生み出している。

 北陸地方の沿線に広い空き地を所有する山口房博さん(仮名、77歳)の悩みは、相続税だ。妻は3年前に他界し一人暮らし。2人の娘は東京に嫁いだ。貯金は数百万円ほど。自分が亡くなれば、この土地にかかる相続税負担のため、一部を切り売りするか、全て手放さないといけない。先祖代々、受け継いできた土地を売るのは、自分の身を切られるようでつらい。

 「新幹線が開通したんですから、人口も増えますよ! アパートを建てて賃料を稼ぎましょう! そうすれば相続税も、ずっと安く抑えられます!」

 そんな山口さんの元に、某アパート建設・管理会社の営業ウーマンが日参していた。20代で元気いっぱい。愛くるしい笑顔を見ていてふと悩みを漏らしたところ、こんな答えが返ってきた。

 土地の相続税評価額は、更地の場合が最も高く、次いで建物、そして賃貸住宅の順に下がる。借入金があればさらに評価額を下げて、実質ゼロにすることも可能だ。しかも、大事な土地を手放す必要はない。山口さんは意気揚々と、東京に暮らす長女の章子さん(仮名、45歳)に電話で計画を伝えた。

 「5000万円も借金するですって!?」。そう、山口さんは営業ウーマンの勧めで、建築資金をほぼ借り入れで賄う考えだ。驚いた章子さんは、開通したばかりの北陸新幹線で実家へ急いだ。

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コメント

cafe_petit え〜こんな落とし穴あるんだ 知らなかった 4年弱前 replyretweetfavorite