今年初め、都内在住の大手インフラ会社勤務の外山茂之さん(仮名、41歳)は、神戸市に住む母親(70歳)から久しぶりに電話を受けた。
「湊ちゃんのために、1500万円を用意したんやけど要るか?」
外山さんは実家からのいきなりの申し出にびっくりした。だが、よく聞くと、娘(9歳)の教育に使うものとのこと。「取りあえず病気以外のもらえるものはもらっておこう」と、妻(42歳)と話し合った後、せっかくなのでありがたく頂戴することを決めた。
母親が提案してきたのは、「教育資金の一括贈与」という枠組みだった。この制度は要約すると、孫の教育費に充てるための贈与について、1500万円までは課税しないというものだ。