なぜ自分だけが生き残ってしまったのだろう。
40代になってから、同世代の人が誰か亡くなると、必ずといっていい程にそう思うようになった。
それは交遊のあった友人知人の場合でもそうだし、まったく面識の無い、遠い国の同世代の人であったとしても同じだ。
「彼がこの世を去り、自分は生き残った。そこに何か意味はあるのだろうか」
てな、何やら哲学風味な、因果関係を求めようとするのは、多分に40代という年齢に起因するところがあるのではないかなと思う。
50代以上となれば、死はおそらくリアルだ。
10代20代にとっては幻想的であるし、30代ではもうひとつピンと来ない。
その狭間にいる、メメントモリがプチリアルである40代は、死に接した時、そろそろ、死が意味するところの生を自分の中で価値として基準立てしようと試み始める。
その想いが、時に他者のふいの死を、自己を中心に後々意味合いを帯びてくる事項として捉えようと無意識が試みるのだ。
試みて、言葉となって「なぜ自分だけが生き残ってしまったのだろう」と口をついて発せられることとなるのだ。
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