僕は平和を失ったが それでも争いたくはない
いま 恐れながらも 希望を抱き
心は燃えながらも 氷のようで
空を飛びながら 地面に這いつくばり
何ひとつ持っていないようで
あなたといると 世界のすべてを抱いてるみたいだ
あなたは僕を監獄に閉じ込めた
鍵もかけなければ 解放することもない
僕のことを 自分のものだと言って欲しい
さもなくば どうか この縄をほどいて
とどめを刺す気がないなら
せめて この手錠を外して欲しい
目がなくとも見つめ 舌がなくとも叫び
死にたいと願いながら 命乞いをして
自分を憎みながらも 僕は人を愛している
苦しみを食らい 泣きながら笑い
生きることも 死ぬことも
いまでは ひとしく 愛おしい
誰がこんなにも 僕を変えてしまったのか
それは奥様 あなたなのです
どうか手紙は 燃やしてください
「悲しみを食らい、泣きながら笑え」
フランチェスコ・ペトラルカ(1304〜1374)