佐藤和歌子
第三回・玉子酒
趣味は酒、特技はおいしそうに食べること、愛読書は飲食店のメニュー、そんな佐藤和歌子がお届けするショートコラムです。暦の上ではもう春ですが「余寒」なんて季語もあるくらいで、まだまだ寒い! お酒で暖をとりましょう。
風邪を引いて食欲がないので、玉子酒プラスαを試してみました。
玉子酒・たまござけ——栄養価の高い鶏卵と強壮効果のある酒を組み合わせた飲み物で、冬の季語。江戸前期の食物図鑑にも「精を益し気を壮んにし、脾胃を調ふ」とある。卵一個に日本酒一合、砂糖小さじ一杯が目安。卵と酒をよーく混ぜてから温める作り方と、先に酒だけ煮立たせてアルコール分を蒸発させてから溶き卵を流し入れる作り方があるが、呑み助には当然前者が好ましい。卵を半熟状に仕上げるにはコツが要り、失敗すると飲む時にドロッと喉ごしが悪くなる。常に攪拌しながら、直火ではなく湯せんで温めるのがベストだが、とても面倒くさい。
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この連載について
佐藤和歌子
季語と晩酌をテーマにしたショートコラム。月四回更新(毎週木曜、第五はお休み)。
著者プロフィール
1980年、神奈川県生れ。ライター改メ雑文家。慶應義塾大学環境情報学部在学中に『間取りの手帖』を刊行。単著に『間取り相談室』『角川春樹句会手帖』『悶々ホルモン』、ほか福田和也『病気と日本文学 近現代文学講義』では構成を担当するなど、雑多な文章を商う。
Twitter:@wwwac_1980