わらのベッドに横になり
寝返りうって 気分は最悪
腹も痛いし 虫にもさされ
だけど向こうじゃ
ほのかな灯りと 笑い声
ああ 聴こえるよ ばかやろう
みんな楽しく踊ってるんだ
この時間に彼女は来るといったのに
そんな気配はまったくなくて
俺はただ 犬みたいに待っている
彼女が来るのを 待っている
十字を切って約束したのに
やっぱりあいつは嘘つきで
俺の飼ってる牝ヤギみたいに
だれかれ構わず ついていくのか?
あいつが着てた新品の服
いったい誰から貰ったんだ?
やっぱりあいつは ずるい女で
この森には 牡ヤギたちが
わんさかわんさか いるらしい
とまあ、こんな具合に待ちぼうけ
報われぬ恋をしていると
分かるだろう?
切なくも 腹立たしさと いらだちで
ひねくれた 卑屈な気持ちになっちまう
雨の夜 にょきにょき生える 毒キノコ
こころもからだも すり減って
食欲なんて ありゃしない
さよなら たまねぎ 心臓ぺりり
月も海で溺れてる
中古の星は くたびれて
うっすら夜も あけてきた
まったく死にたい気分だぜ
「さよなら、たまねぎ」
フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(1844〜1900)
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