こんばんは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。
先日、「世界婚活」で有名な中村綾花さんと会食をさせていただきました。中村さんは現在パリに在住で、パリジャンと結婚していらっしゃいます。
ある土曜日、夕刻6時半。私はお気に入りのシャツに身を包んで、ある焼き鳥屋さんにおりました。
奥の個室でお茶をいただきながら待ちます。今日はどんなお話をしよう。会食はどんなことになるのだろう。緊張で肩に力が入るのが自分でも自覚されます。交感神経が少しずつ優位になり瞳孔が絞られるのが実感されて、じっとりと汗もかいてきました。カーディガンを脱ごうかとも思いましたが、初対面でいきなりシャツ姿も失礼な気がしてそのまま汗だくで待ちます。
「いらっしゃいませ」
昨今珍しくなった引き戸を引く音が聞こえて、入っていらした中村綾花さん。き、きた・・・
「初めまして」「初めまして、雨月です」
お互いに頭を下げます。本当はこのタイミングで’Bisou’(ビズ)とやらをしたかったのですが、恥ずかしくて出来ませんでした。Bisouというのはフランス人のする挨拶の方法で、頬と頬を合わせてチュッとするアレです。
日本人らしいぎこちない挨拶で始まった会食に同席下さったのは、中村さんと一緒にいらしたcakesの編集者Nさん。澄んだ目をしたイケメンです。
さっそく運ばれてきた前菜と鳥刺しを前に乾杯。私とNさんはビール、綾花さんはお酒が呑めないのでワイン風ぶどうジュースです。
会食に先立ち、私は綾花さんの著書「世界婚活」とここcakesの連載、ブログなどを一通り読んだので、ある程度は彼女が好むコミニュケーションや雰囲気を掴んでいたつもりでした。そして、自分が3、綾花さんが7くらいお話をしていただくつもりで会食に臨んでいたんです。
ところが話しているうちに、綾花さんの絶妙なタイミングの「雨月さんはどうなんですか?」にいつのまにかペースを絡め取られ、米焼酎「鳥飼」の酔いも手伝って結局は自分の話ばかり。やれやれです。
「私は全体重をかけた最後の恋に失敗したので、当分恋愛市場から引退しようと思う」と申し上げると、綾花さんは少し寂しそうな顔をして「どうしてうまくいかないのでしょうね。でも私も一年くらい引きずっていたことがあるのでわかります」とおっしゃいました。
「毎日パソコンの前に座ると涙がダーっと溢れてきて。この世にこんな辛いことがあるのか、なんて思っていました」
綾花さんの、医学的に言う「共感的態度の表出」にあっという間に緊張をほぐされ気分を良くしてしまった私は、綾花さんにこんな質問をしました。
「あの、結婚って、ぶっちゃけしてみてどうですか?」あまりのざっくり質問に苦笑ながらも、答えてくれました。