とにかく阿部寛の公式サイトを見てください
登戸に住む知人宅で「阿部寛の公式サイトがチープすぎる」との議題に花を咲かせたのはいつだったか、と昔の手帳を遡ってみると、3年前の正月休みだった。久しぶりにアクセスしてみたら、まったく変わっていない。公民館の小会議室で開催されている「はじめてのホームページ作成講座」で習った成果がこちらです、と言わんばかりの出来。トップページの背景には「ABE Hiroshi」の文字が敷き詰められている。「ドラマ出演」を押せば「Drama」が、「舞台出演」を押せば「Stage」がそれぞれ敷き詰められ、ならば「写真集」は「Photo Book」だろうかと思ってクリックすると、再び「ABE Hiroshi」が敷き詰められており、意表を突かれる。
阿部が主演を務める大ヒット中のドラマ『下町ロケット』は、宇宙への夢を追い続けながら小型エンジンの製造などを手掛けてきた下町の工場が舞台。22日放送の最新回では「人工心臓のバルブ」という最新鋭の技術が求められる仕事のオファーを受けていたが、彼の公式サイトに馴染んできた古くからのファンは「アベちゃん、そんなことよりホームページを」と小言を漏らしているのではないか。しかし、『下町ロケット』が技術力よりも人情に突き動かされていくように、この公式サイトも同様。最新技術を注いだテクニカルなウェブサイトの中には、利用者にとってはただただ冷淡で、会社概要に辿り着くだけでも時間がかかるものも多い。一方、阿部寛の公式サイトは、トップページに、事務所の住所・電話番号・FAX番号まで記されており、野暮ったいがとにかく親しみやすい。
「いい男」扱いに飽きた
カメラの撮影技術など持ち合わせていないが、阿部寛ならカッコ良く撮れる自信がある。なぜなら、この人は、常にシャッターチャンスというような顔をしているから。誰がどう見てもルックスやスタイルがずば抜けている人であっても、当人はそのカッコ良さを否定するものだが、阿部はそんな面倒なことはしない。1998年に刊行されたエッセイ集『アベちゃんの悲劇』(集英社)を開くと、モデルから俳優業への移行がうまくいかなかった時代を振り返りながら「189センチの長身を生かして男っぽいものを目指すと、甘い顔立ちがジャマになる」との自己分析がある。外からの評定ならば極めて真っ当だが、彼の場合、これを自分で下してしまっても自慢としては響かない。
ドラマの番宣でやって来たイケメン俳優に必ず投じられる設問といえば、「学生時代、めっちゃモテたでしょう?」だが、それに「そんなことないですよー」と返して、「えー、ウソでしょー」と続いていくお決まりの流れには辟易する。一方、阿部はこうやって堂々と愚痴る。「『いい男はいいよなー』という言葉は1000回以上聞かされた」(前出書より)。謙遜などしない。
躊躇せずに美醜を語る
高校3年間、ずっと阿部のことを思い続けた同級生がいたという。
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