コバルトブルーに輝く神秘の川と、伝統のねぷた祭でまさかの“ロボ発進”

脱力系旅エッセイの名手にして、巨大仏・ウミウシ・迷路旅館などヘンテコなものの目利きとして知られる宮田珠己さん。新刊『日本全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編』の出版イベント(三省堂書店池袋本店、2015年10月5日)では、日本各地の「スゴいのにあんまり知られていない観光スポット」の数々を、地元になんの断りもなく勝手に大宣伝! その様子を2回にわけてご紹介します。ひと味違う旅をしてみたい方、必読です。

日本中に埋もれた”お宝スポット”がいっぱい

三省堂書店 内田剛(以下、内田) きょうは、『日本全国津々うりゃうりゃ仕事逃亡編』をこのほど出版されたエッセイストの宮田珠己さんをお招きしました。私は三省堂書店の内田剛と申します。では、宮田さん、よろしくお願いします。


日本全国津々うりゃうりゃ(仕事逃亡編)

宮田珠己(以下、宮田) きょうのテーマは「すごいのにあんまり知られていない観光スポット」です。
 最近、仕事で国内旅行をすることが多くて、行ってみると自分でも知らなかった面白いところがけっこうあって、こんなにすごいのに、なんでみんな知らないんだろうって。

内田 ガイドブックには載ってない?

宮田 ちっちゃくは載っていたりするんですよ。端っこのほうに3センチ四方くらいで、写真もなくて文字だけで、とか。ああ、一応知られているんだ、でもあんまり聞いたことなかったなぁ、みたいなそういういいところがいっぱいあって。

内田 もっとPRしてもいいんじゃないかと。

天空の城「竹田城」を流行らせたのはオレ?

宮田 ええ。最近ちょっとずつですけど、知られてきているスポットがあるんです。内田さん、お城マニアですよね。

内田 お城、大好きです。

宮田 竹田城ってあるじゃないですか?

内田 ええ、ええ。天空の城ですね。

宮田 ぼくはもう15年くらい前に、朝日新聞の大阪本社版で連載をしていました。それがまとまって『勝手に関西世界遺産』(朝日新聞社、2006年)という共著本になっています。

連載中、関西の面白いところを探していて、弟に「なんか面白いところ知らない?」って聞いたら、「竹田城というとこがあるよ」と。調べたら、うちのおやじの実家が生野町という生野銀山のあったところで。

内田 竹田城に近いですね。

宮田 そう、近いんですよ。

内田 お父さんの実家という、よく知っている範囲に、そんな知らない名所があったと。

宮田 そうなんです。で、行ってみたら、すごくよくって。マチュピチュみたいで、って、マチュピチュ行ったことないんですけど(笑)。

内田 まあ天空の城といえば、マチュピチュですからね。

宮田 で、雲海がきれい。ただ、雲海っていうのはいつも出ているわけじゃなくって、タイミングが合わないと写真が撮れない。でも、カメラマンの方に、ちょっと雲海撮ってきて、ってお願いしまして。

内田 それは、むちゃぶりな。

宮田 でもカメラマンの方が、「ちょっと無理かもしれない」と言いながら、出かけていったら、撮れた!

内田 撮れたんですか!

宮田 そう、一発で撮れた。

内田 それはすごいですね。

宮田 その写真を新聞で出したら、すごい反響があったんですよ。写真がすごくカッコよかったんで、写真を売ってくれという人まで出てきて。

で、いまあんなに流行っている。

内田 めちゃくちゃ流行ってますよね。

宮田 オレが流行らせたんじゃないかと(笑)。よくあるじゃないですか、アレオレ詐欺って。アレ流行らせたのはオレって。そう言いたいぐらいですよ。

内田 いやあ(笑)、宮田さんの奥ゆかしさが伝わるエピソードですね。

宮田 きょうはそれと似たところで。

内田 似たところ?

宮田 この写真なんですけど。

絶景!コバルトに輝く神秘の川

宮田 北海道のブルーリバーってところです。みなさん、ブルーリバーってご存じですかね? ブルーリバーっていうのはですね、北海道の富良野の近くの美瑛に白金温泉がありまして、その温泉に流れている川なんです。
 白金温泉の掛け流しのお湯が川に流れ込んで、同時にどこからか地下水も流れ込んで、地下水と温泉のお湯が混ざった瞬間に青くなるんですよ。

内田 むちゃくちゃ青いですね。

宮田 地元の方が説明してくれたんですけど、アルミニウムが入っているらしいんですよ。それに石灰が混ざるとなんか反応して、こんな色になると。

内田 入浴剤みたいなのを入れてるわけじゃなくて、天然でこういう色になる、と。

宮田 しかも、4キロ区間だけなんですよ。混ざったところで青くなって、4キロ下るとでっかい川に合流しちゃうんですよ。合流すると薄まっちゃって、青くなくなっちゃう。この4キロ区間だけが、青いんです。

内田 すごいきれい。

宮田 でしょ。温泉が混じっていることもあって、冬も凍らないんです。

内田 珍しい。美瑛は北海道のちょうど真ん中ですよね。

宮田 ぼくは冬は行ったことがないんですけど、周りが白銀の世界になっても、この青いところは凍らないらしいんです。


途中の砂防ダム

内田 行ってみたくなりますね。

五所川原のねぷた祭りはビルから“ロボ発進”

宮田 続きまして、次は青森県。この本の続きをまだウェブで連載してまして、ついこのあいだ取材で行ってまいりました。もうすぐその連載に出てきます。

内田 じゃあ、これは先取り?

宮田 ええ、先取りの情報です。立佞武多(たちねぷた)の館っていうのが五所川原にあるんです。これはそのねぷたなんですけど。

宮田 すごくデカいんですよ。高さが23メートルくらいあって。

内田 すでにそれだけでもすごい。

宮田 それが3つ、ある建物の中に展示されてまして。

内田 えっ、これは建物の中?

宮田 そう、建物の中なんです。周りに廊下がぐるぐる回ってて、一番上までエレベータで上がって、見ながら廊下を降りてくるようになってるんです。

内田 ああ、上のほうからもよく見えるってわけですね。

宮田 ところがですね、廊下を歩いていると、これ。

宮田 「この橋が開きます」って書いてあるんです。

内田 なんですか?

宮田 そう、なんだろうって思うでしょう? この橋がね。

内田 えっ、開く?

宮田 そう、開くっていうんです。ここちょっと見ていただくと、向こうに橋が見えるじゃないですか?

内田 (ねぷたの背景を指差して)これがさっきの橋ですか?

宮田 そう、「この橋が開きます」の橋が見えてるんですけど、上から3つ、横に梁というか斜めにありますよね。

内田 まさか、これが?

宮田 これが開いて、ねぷたが外に出るんです、お祭りのときに。

内田 そうか、出すために開くと。

宮田 ぼくはお祭りには行ったことないんで、この間、ここのねぷたは初めて見たんですけど、お祭りのときの写真がパンフレットに載ってたんです。


写真提供:立佞武多の館

宮田 ここから出る、と。

内田 これは迫力ですね。

宮田 そして、出ている写真がこれ。


写真提供:立佞武多の館

内田 おお!

宮田 ロボですよね。

内田 これはロボですよ!

宮田 ビルがガーッと開いて、橋がガーッと開いて、サンダーバードじゃないですか。

内田 そうそう、その世界。

宮田 これはすごいな、と。この出る瞬間というのを、やっぱり映像でね。

内田 見たい、見たい、見たい!

宮田 タイムラプスかなんかでやってほしいですよね。

内田 行く時と帰る時、見たいですね。

宮田 でしょ?

内田 めちゃくちゃ見たいですよ。それをもっと宣伝しろっていうんですよ。見上げてデカいって、そこで終わるなと。

内田 ねぷた自体が20何メートルあるから、建物は30メートルくらい?

宮田 パンフには38メートルって書いてある。

内田 ということは、大仏殿から大仏が出てくるような迫力ですよね。

宮田 そうそうそう。

これを見に行きたいなあとすごく思ってるんです。で、あんなに高いと電線に引っかかるんじゃないかと思って。

内田 引っかかりますよね?

宮田 それでよく聞いたら、このために電線を地下埋設して、引っかからないようになってるらしいんです。

内田 練り歩くところは、電線を埋めてあるんだ。

宮田 青森のねぶたは行ったことあるんですけど、あれは電線を気にして、あんまり高くないんです。横幅と立体感で見せてて、こんなに高いのはないんです。

内田 へーえ、そういう違いがあるんですね。

宮田 それをそのまま建物に格納してあるってところがいいんですよ。

内田 なんか潔いですね。

宮田 ここはすごくオススメです。

『仕事逃亡編』のつづき『休暇強奪編』を
廣済堂よみものwebで好評連載中!

通勤電車で読むのはキケン! 仕事なんかほっぽり出したくなる、ゆるゆる旅エッセイ

この連載について

日本全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編

宮田珠己

脱力系エッセイの名手にして、巨大仏・ウミウシ・迷路旅館などヘンテコなものの目利きとして知られる宮田珠己さん。新刊の旅エッセイ『日本全国津々うりゃうりゃ 仕事逃亡編』でも、その独特な選択眼に思わずくすりとさせられます。宮田さんが最近、注...もっと読む

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niina_noriko 見に行きたい! 4年以上前 replyretweetfavorite

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