エンジニアだけで40人を抱える日経の「海兵隊」
加藤貞顕(以下、加藤) 前回、ネットニュース全盛の今において、月額4200円という購読料で、43万人もの読者のニーズをどうやって満たしているかを伺いました。改めて、「日経電子版」のアクセス数を教えていただけますか?
渡辺洋之(以下、渡辺) 月では3億数千万PV(ページビュー)ですね。月間の訪問者数(ユニークユーザー)が2200万くらいです。
加藤 さすが新聞という数字ですね。
渡辺 会社で上司に「あれ知ってるか?」と聞かれて「知りません」とは言えませんよね。そのためにも新聞はチェックするでしょうし、前後の文脈を知るために読むこともあると思います。
加藤 そうですね。市場に左右されやすいビジネスをする人にとって、経済状況をはやく正確に知れるかは大事ですよね。
渡辺 「日経電子版」ではそのための機能として、画面をカスタマイズして自分が気になるニュースをまとめて読める「Myニュース」を提供して利便性を追求しています。キーワードを保存すれば関連するニュースや気になる連載記事を自動的に集めてくれるので、読み忘れがなくなります。
加藤 「Myニュース」を使っている人は大勢いるんですか?
渡辺 何割かの方は使っていますよ。我々も推奨しています。
加藤 ウェブサイトのユーザーインターフェースのデザインは、どのように行っているのでしょうか? 記事がたくさんある新聞はそのへんもすごく大事だと思うのですが。
渡辺 今はけっこうユーザー調査をやっていますね。実は、新聞社は一般的に1000万部売っていても、顧客名簿を持っていないんですよ。
加藤 え? あー、そうか。新聞の販売店※が持っているわけですね。
※ 新聞販売店:新聞社とは別の会社で、各世帯と新聞の宅配契約を結び宅配、集金をする営業所のこと
渡辺 そうなんです。だから我々もデジタルの時代に、お客さんと直接つながりたいということはとても意識していました。今は有料会員と無料会員を合わせて280万人分の名簿を持っている状態です。それと私の古巣の日経BPのIDの名簿も結合しているので、合計すると700万人分になります。
加藤 そうとうな数ですね。
渡辺 そういう読者の方たちに、アンケート調査だけではなく、直接お会いして「何が使いにくいですか? 次は何があったらいいと思いますか?」と確認しながら新しい機能を作っています。新機能がついたらレビューもいただきますし、今風のUI(ユーザーインターフェース)にするためにデザイナーを含めていろいろな方たちにアドバイスもいただいています。できる限りネット企業に近い感覚を持ち続けようとしています。
加藤 「日経電子版」を作っている社内の体制について教えてください。どのような部署でどうやって作られているんでしょうか?
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