先生を雇ったり、カリキュラムを作ったり、サイト用の写真を撮ったりと大忙しの毎日だったが、懸案はもう一つあった。
それは、工事の進捗だ。
本来の予定の1月5日から10日ほどしてスタートした工事は早々に頓挫した。まず、エアコンのダクトが問題となったのだ。
僕らのプランは、モールのエアコンを使いつつ、自前のエアコンを最低限併設し、モールがオープンするまでの10時までは自前のエアコンを使い、10時が来たらこれを停止し、そこから先はモールのエアコンを使おうというものだった。エアコンのダクトについては既存のものをそのまま使用し、自前のエアコンもそこにマウントする。フィリピンの電気代は非常に高い上、この最少限度のエアコン施設ですら数百万が飛んだ。なので、これが一番合理的な判断と思われた。
ところが、モール側が思いがけない無理難題を持ち出した。エアコンのダクトはあくまでモール側の所有物であり、賃貸の一部ではない。したがってその所有権はモール側にある。僕らがこのダクトを使用するのなら、これを買い取れというのだ。
この時点では、どうやら自前のエアコンとモールのエアコンを併設する案は伝わっていないらしかった。この点は契約時にも懸案として伝えてあったはずだし、僕らが契約した内装工事業者のKさんの図面にも反映されているはずだ。一体何が起きているのだろうか?
この話を最初に聞いたのはKさんからだったが、実際のところ何が起きているのか正確に把握できなかった。そこで、交渉は僕自身がセブに行くまで待ってもらい、セブ入り早々にモール側とKさんの話を聞いてた。