赤坂のカエル

第5回】はたらけどはたらけど猶楽にならないフリー生活

面白くてためになる、中川淳一郎さんのエッセイ5回目は、本格的にフリーライターを始めた頃のお話。仕事相手から電話で「テレビを見ろ!」と言われた中川さん。そこにはある光景が映されていました。時は2001年、世界も中川さんも激動だった年のお話です。

意外にギャラが高い動物は何?

さて、奇跡的な話なのだが、この段階で実は私は『日経エンタテインメント!』から次の仕事をもらっていた。一応レギュラーページは獲得できたものの、な、なんと、私のデビュー号の次の号で特集のライターにしてもらったのである!

その特集は、CMに関する12個ほどのテーマを取材するというものだ。12テーマで4ページ。全部やれば12万円である。たとえば「CMに登場する象のギャラはいくらで、意外に高い動物は何か?」といったものを取材するのだ。

編集の大澤さんは、自分がやりたいと考える企画があったら、そこの結論に向かうべく、ライターに徹底的に取材をさせるタイプの編集者である。二人で打ち合わせをする時は「CMに動物が出演した場合、何が一番高いんだろうね?」といったところから話が始まる。私は「動物専門プロダクションってのがあるんで、そこに聞いたらいいんじゃないですかね?」と答える。そこで大澤さんは「分かった。で、一番高い動物はなんとなく想像つくじゃん。多分象とかライオンだと思うんだよ。でも、『実は意外に高い動物がいる』というネタもちゃんと取ってきてね」と私に言うのだ。

彼にとって、“使えるライター”は彼の仮説ありきの証言をキチンと取ってくる人物のことである。私は前月に一度彼と仕事をしたことによって、その考え方をなんとなく理解するようになっていた。私の文章はまだまだヘタクソではあったものの、こんな実績なしの男に発注してくれる大澤さんの要求には最大限応えようと考えた。

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中川淳一郎

ライター、編集者、PRプランナーとして『NEWSポストセブン』などのニュースサイトの編集を手がける中川淳一郎さんのエッセイ連載! 日本のウェブ業界で、強烈な存在感を放つ中川淳一郎は、いかにして中川淳一郎になったのか。その生き様を赤裸々...もっと読む

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