オチビサン歳時記

マユミの実 〜弓材になった、愛らしい実のなる木〜

木々が赤や黄色に色づく季節、
美しい葉にまざって、たくさんの赤い実がなっています。
マユミの実です。
身近にあるのに、名を知らない植物ってありますよね。
オチビサンは、いつもそんな植物を教えてくれます。
マユミって、いったいどんな木なのでしょう。

マユミは、ニシキギ科の落葉樹。秋には美しく紅葉しますが、なにより目を引くのは、そのかわいらしい実でしょう。1㎝ほどの果実は薄紅色。枝にぶらさがるようにしてつき、まるで折り紙で折ったような、丸みのある箱型をしています。

秋が深まったある日、熟した実は突然はじけます。4つに割れた果皮の中から顔を出すのは、朱色の仮種皮に包まれたタネ。愛らしさを増した実に、気づいた人は見とれるはず。鈴なりの赤い実をついばみにくるのは、ツグミやヒヨドリなどの野鳥。おいしそうですが、人間は食べると下痢などをおこすので、見るだけにしましょう。

マユミは、古くから日本人と深いつながりがありました。樹皮はコウゾやミツマタと同じく和紙の材料になり、「檀紙」という高級紙に生まれ変わりました。「檀」は、マユミのことです。家具にも加工され、今でも将棋の駒の材料などに使われています。

そんなマユミの利用法の中で、もっとも知られているのが弓の材料です。漢字で書けば「真弓」。弓材として用いたことから、その名がつきました。マユミの木はじょうぶでよくしなるので、木の枝をけずって断面を丸くし、丸木弓を作りました。後世、竹を材料に使うまで、弓は丸木弓が主流だったそうです。万葉集には、「弾く」や「張る」などの言葉にかける枕詞として、マユミが登場しています。

天の原振りさけ見れば白真弓 張りて懸けたり夜道はよけむ

—空を振り仰いでみると、白真弓(マユミで作った白木の弓)のような月が出ている。夜道はよかろう。

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オチビサン歳時記

金田 妙 /安野モヨコ

漫画家・安野モヨコの描く1ページのカラー漫画「オチビサン」。 春はお花見。夏は海水浴。 秋はもみじ狩り。冬はみんなで"おしくらまんじゅう"。 オチビサンは毎日遊びに大忙し! 『オチビサン歳時記』では『オチビサン』に出てくる季節の言葉...もっと読む

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