A.謎に包まれた金丸産業、その実態は創業45年あまりの総合商社。食品からぬいぐるみ、アパレルまで扱う幅広さ! ただ、扱うプロジェクトのちょっとしたユルさは無視できない!
クッキングパパ荒岩が勤めている会社・金丸産業。博多の中心地に大きなオフィスビルを構える企業である。
金丸産業自社ビル。金のマークが眩しい©うえやまとち/講談社
現会長である金丸氏が昭和30年代に日用品や雑貨の卸「金丸商会」を創業し、息子である現社長と親子2代に渡って会社を大きくしてきたようだ。いまでは九州の各都市を始め、大阪や東京にも支社を置き、確認できるだけで機械、玩具、アパレル、食品などを扱う総合商社に成長している。
ちなみに荒岩は得意の料理の腕を生かし、うどん好きの社長にはうどんの打ち方を教え、会長にはそば粉を使ったパスタ「スば」(パスタとそばをつけた造語)をごちそうしたりして、いち課長でありながら会社トップからも主に料理の面で絶大な信頼を寄せられている。
気に入られようとゴマをすらなくても「自分の特技を生かし人に協力していたら偉い人に気に入られる」という会社員ロマンスを実現しているだ。
会長から直々に料理をリクエストされる荒岩©うえやまとち/講談社
荒岩の所属する営業部のほかに工場の部門があり、自社工場があるもよう。営業部も営業1課、2課のほかに販売促進課があり、マーケティングや商品企画、セールスプロモーションなどを総合的に手がけ、自社製品の製造もするというかなり大規模な総合商社だ。おそらく、地元の大学生の中では「あそこに入社できれば勝ち組」と言われるような会社ではないだろうか。
荒岩は決してほっこりのんびりした人物ではなく、かなりのエリートなのだ。
長いこと読んでいるが、販売促進課のメンバーは社内テニス大会でしか確認できず©うえやまとち/講談社
地方の会社ながら、世界を股にかけた仕事も! 荒岩のアイデア力がイタリアで炸裂!
営業部は食品を扱う部門、アパレルを扱う部門、というように細かくチーム分けされているわけではなく、荒岩が所属する営業2課には電気機器からアパレル、博多人形などさまざまのものを扱っている。地元に密着したような仕事もあるが、さすがは大企業、荒岩の元には国際的なプロジェクトも舞い込んでくる。
荒岩は1986年には「牧原トーイ」の「モモ」というリスのキャラクターのぬいぐるみをヨーロッパに進出させるというプロジェクトの主力として参加しているが、ここでも荒岩は「販売店でビシソワーズをサービスする」という斬新なプロモーションを提案したり(保健所的なアレは大丈夫だったのだろうか)、情熱的にイチャつくイタリアの人々を見て2体1組の「カップル モモ」というアイデアを思いつくなど大活躍。堅く働くだけでなく、突破力のある(ありそうな)アイデアも持つ荒岩のデキる男ぶりが発揮されている。
このぬいぐるみをヨーロッパで売るのが荒岩たちの任務 ©うえやまとち/講談社
「カップル モモ」、売れただろうか……©うえやまとち/講談社
金丸産業はの強みは、ユルさ?
そしてこの牧原トーイのヨーロッパ進出が成功のためか、1991年には金丸産業で取り扱っている韓国の輸入食材の売り上げを伸ばすため、小冊子を作るプロジェクトに荒岩に白羽の矢が立つ。荒岩が本領を発揮できる食の分野での仕事だからか、荒岩は見学していたキムチ作りに飛び入りで参加したり、韓国料理をテーマにした展示会を博多で開催を企画したり大活躍している。
韓国でもなにかと料理好きの血が騒ぐ荒岩©うえやまとち/講談社
しかしちょっと気になるのはこの韓国プロジェクトのスタッフの揃え方だ。
荒岩と部下の田中と梅田に韓国の代理店・三明物産のスタッフ、現地の料理研究家も参加しているが、小冊子を作るのにプロのカメラマンは同行せず、写真は部下の梅田が担当。日本語の小冊子を作るのだからライターを連れて行くとか、編集者の役割をするスタッフもいなくて大丈夫だろうか……と心配になるほど、のんきな出張となってしまっているのだ。
販売促進部はどうした!
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