負ける技術

SNSでの「幸せアピール合戦」

FacebookなどのSNSに溢れる、楽しそうな写真や幸せ報告。この「幸せアピール合戦」に、”負け”のプロであるはずのカレー沢薫さんも思わず参加してしまったことがあるといいます。ネットにはびこる「幸せ」に隠れた、「現実」とは。リストラ、派遣切り、ハローワーク通いを経験した異彩の漫画家・カレー沢薫が送る、したたかに生きる日々を綴ったエッセイ。好評発売中の『負ける技術』文庫化を記念して、一部を公開します。

I'm happy!


「なんでこいつらこんなに楽しそうなんだ」。

FacebookなどのSNSを見るといつもそう思う。そこは「オシャレなカフェで食べたランチ」「綺麗な空」「雨上がりの虹」「海をバックにダブルピース」など、超楽しそうな写真たちで満ち溢れているからだ。

調子が悪い時に見ると、焦りと苛立ちのぬかるみの中で、揚げられる前のエビ天みたいになっているのは自分だけで、あとは全員なんの悩みもなく常にダブルピースで暮らしているに違いないとさえ思えてくるのだ。

だがその反面「こいつらの何割かは本当は全然楽しくないんじゃないか」とも思う。世の中には「充実していると他人から思われることによって感じる充実」という心理も存在する。つまり人から「こいつ楽しそうだな」と思われることが目的であり、写真のおいしそうな食い物が実はドブ水みたいな味だったり、綺麗な空の写真を撮った時の足元が虫の死骸だらけだったりしたとしても「ハッピーそうな写真」が撮れて、他人から「いいね!」がもらえればそれで満足なのである。

このようなSNSでの「幸せアピール合戦」は、男より女、もっと言うなら「親しい女友達同士」ではなく「当時そんなに仲が良かったわけではなく卒業後顔も合わせていないが、たまたまFacebookで繋がった同級生」というような間柄で頻発している気がする。

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負ける技術

カレー沢薫

一世を風靡し、チヤホヤされていた人間が、不祥事を起こした途端、袋叩きに遭う様はもはやおなじみの光景。そんな厳しい現代において、著者が推奨する「負けるが勝ち」の生き方とは。リストラ、派遣切り、ハローワーク通いを経験した異彩の漫画家・カレ...もっと読む

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コメント

ma_cha_ponpon 「充実していると他人から思われることによって感じる充実」 言いたかった事ぜんぶ言ってくれてる、それそれそれ!それだよ!ってやつ 約2年前 replyretweetfavorite

leonidas32 cakesで「わたしたち、いま、無敵じゃない」を読んだ後にカレー沢薫の記事を読むと生きる事を真面目に考え始めてしまう。 3年以上前 replyretweetfavorite

itabashinatsumi |カレー沢薫 @rosia29 |負ける技術 最後の 安心して欲しい がくるhttps://t.co/lP3qN2MRW5 約4年前 replyretweetfavorite

moyasi_testroom https://t.co/MqcXsKibPp 4年以上前 replyretweetfavorite